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2023 年度 実施状況報告書

エネルギー汎関数と非アルキメデス計量を用いた様々な標準Kaehler計量の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K03120
研究機関大阪公立大学

研究代表者

橋本 義規  大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (60836485)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2028-03-31
キーワード標準計量 / Kaehler計量
研究実績の概要

大阪大学の藤田健人氏と議論する中で,coupled Kaehler-Einstein計量及び関連する安定性についての有意義な進展を得ることができた.この研究結果は次年度以降論文にまとめることを予定している.また,extremal計量に関する研究においても論文執筆を進めた.

当初研究計画で想定していた課題について得られた進展は,上で述べたように有意義ではあるもののまだ途中段階にあるが,本年度は当初想定していなかった研究課題で結果を出すことができた.本年度得られた結果として,冪零リー群上の左不変リッチソリトン(nilsoliton)についてのHilbert-Mumford基準がある.これは,本研究課題におけるエネルギー汎関数と非アルキメデス計量の関係を複素幾何以外の分野に応用したものである.より具体的には,冪零リー群上にいつnilsolitonが存在するか,という等質空間における重要な問題に対して,対応するリー環上にHilbert-Mumfordウェイトに類似した代数的不変量を定義し,そこから定まる安定性基準によりnilsolitonの存在が特徴づけられることを示した.この結果は,非コンパクト等質多様体のEinstein計量を研究するにあたって重要な問題であるnilsolitonの存在に関して知られていた先行研究結果を発展させ,その応用として凸集合を用いて定められるNikolayevskyによるnilsolitonの存在判定基準を一般のLie環に一般化するのみならず,nilsolitonの非存在に関して武富氏と田丸氏による予想の修正版を示すことができた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

oupled Kaehler-Einstein計量やextremal計量に関する当初予定していた研究課題についてはまだ論文完成まで至っていないが,大阪大学の藤田健人氏の大きな貢献があり,非常に有意義な進展を得ることができた.

Nilsolitonに関する研究は当初研究計画になかったが,等質空間の専門家と議論を重ねるうちに本研究課題の中心テーマであるエネルギー汎関数と非アルキメデス計量が非常に有効的に活用できる問題であることに気づいたので,優先的に研究を行った.その証明において標準Kaehler計量の分野でよく知られていた手法を用いることができた点は興味深いと考えている.

今後の研究の推進方策

Coupled Kaehler-Einstein計量やextremal計量について,本年度得られた結果をまとめて公表することが目標である.また,nilsolitonに関する結果に関しては,申請者がこれまで研究してきた分野とは別分野の結果であるから,時間をかけて結果を広く知ってもらえるようセミナーや研究集会での発表機会を積極的に活用したいと考えている.また,今回nilsolitonに関する論文を執筆する中で等質空間に対する基礎事項を学習することができた.来年度以降は,複素幾何やKaehler計量といった申請者の以前からの専門分野にこだわらず,等質空間についての専門的知識を得て理解を深め,幅広い結果が出せるよう尽力したい.

次年度使用額が生じた理由

次年度に複数の研究集会開催を企画しており,出費が見込まれるので本年度分を使い切ることはしなかった.来年度,国内外から研究者を招聘するために支出する予定である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 冪零リー群上の左不変リッチソリトンについてのHilbert-Mumford基準2023

    • 著者名/発表者名
      橋本義規
    • 学会等名
      OCAMI微分幾何学セミナー
  • [学会発表] Lelong数やSiuの定理とStep 3の残りの部分(Yがsingularな場合)について2023

    • 著者名/発表者名
      橋本義規
    • 学会等名
      専門家向け勉強会「ケーラー多様体上の標準計量とその周辺 4」

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公開日: 2024-12-25  

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