研究課題/領域番号 |
23K03124
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
稲葉 和正 岡山理科大学, 理学部, 講師 (70850048)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ミルナー束 |
研究実績の概要 |
実解析的写像の特異点の近傍上のファイバー束の存在および、そのファイバー束のファイバーのホモトピー型やモノドロミーのゼータ関数に関して研究を行った。正則関数の特異点とは異なり、実解析的写像の特異点が常にミルナー束をもつとは限らないが、強義非退化な混合関数の特異点はミルナー束をもつことが知られている。ここでミルナー束とは特異点の近傍上に定まる円周上の局所自明なファイバー束のことである。また、混合関数とは複素変数とその複素共役で定義される複素数地関数である。 この結果をより一般の実解析的特異点に拡張するため、強義非退化とは限らない一般化されたトム・セバスチャン型特異点のミルナー束の存在および、そのファイバーのホモトピー型やモノドロミーのゼータ関数を計算した。 また、超曲面では得られない特異点の近傍のトポロジーを研究するために、複素解析的写像と同様に実解析的写像に対しても完全交叉型の特異点を考察した。強義非退化を仮定することで、完全交叉型強義非退化な混合関数の特異点の近傍が円周上の局所自明なファイバー束になることを示した。通常のミルナー束は球面上のオープンブック分解を定めることが知られており、ミルナー束と両立する接触構造の存在も知られている。今回の結果から球面とは異なる多様体のオープンブック分解のファイバーや境界に現れる絡み目および、モノドロミーを特異点の手法を用いて考察できることが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
完全交叉型強義非退化な混合関数の特異点の近傍が円周上の局所自明なファイバー束になることを示したことにより、球面以外の多様体にも特異点を用いてオープンブック分解を構成できるようになった。このことから特異点論の手法を用いて球面とは限らない多様体のオープンブック分解を考察できる。現在はこのようなオープンブック分解のファイバーやモノドロミーの研究を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
超曲面型の強義非退化混合関数の特異点と同様にニュートン図形から決まるトーリック改変および、実ブローアップを用いて完全交叉型強義非退化な混合関数の特異点の解消ができることを示す。この特異点の解消が出来ればミルナー束を特異点解消で決まる例外因子の近傍ごとに分解することができ、その分解から決まるモノドロミーの分解を調べることで、モノドロミーのゼータ関数を計算する。
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次年度使用額が生じた理由 |
大学の業務の都合により予定していた出張の日程を変更したためである。翌年度の研究打ち合わせのために使用する予定である。
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