研究実績の概要 |
本研究は離散曲線や離散曲面あるいは離散超曲面を差分幾何の見地から調べる。研究の目的は、離散可積分系理論の手法をもって離散曲面と離散超曲面の理論をより深く整備し、さらに離散曲線の研究成果を基盤にして非可積分系の問題に取り組むことである。本研究では特に、テータ関数を用いて離散弾性棒やカライドサイクルや離散独楽などを構成すること、指数関数を成分とするパフィアンを用いて離散アフィン球面を構成すること、超幾何関数を用いて離散共形平坦超曲面を構成すること、平面離散曲線の離散曲率流を手掛かりにして界面の双曲型の発展問題について離散モデルを構築すること、等の課題に取り組む予定である。研究期間初年度の研究成果は次のとおり。①時間尺度微分積分学 (DOI:10.1007/BF03323153) の方法による曲面論を構築した。この手法にもとづく曲面の具体例としてこれまでは負定曲率曲面 (DOI:10.1088/1751-8113/40/42/S02, DOI:10.1016/j.jmaa.2014.10.044) が知られていたが、当該年度は離散曲面論 (DOI:10.1093/imrn/rnw015) を基盤にして一般的な定式化を与えた。②負定曲率曲面はサインゴルドン方程式の解で記述されるが、この方程式は可積分系として拡張される (DOI:10.18910/7919) ことが知られている。当該年度は、拡張された方程式の解で記述される曲面 (DOI:10.1063/1.1452776, DOI:10.1063/1.1577347) を、空間曲線の時間発展として記述した。その明示公式の導出については現在検討中である。
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