研究課題
本研究では領域の擬凸性の影響による剛性定理を定式化し、種数正の開リーマン面の擬凸変動に対する同時一意化定理を改良・拡張する。具体的には、複素径数を持つ開リーマン面の族に対し、各リーマン面の等角写像に関連したモジュライやリーマン面の接続についての知見を駆使して、複素多変数的に変動するものを定式化し、1変数的量変動と多変数関数論において擬凸性が果たす役割を俯瞰する。本年度得られた研究成果は次の通りである。1.ファイバーが有限種数正の開リーマン面からなる滑らかな2次元擬凸領域の剛性を、開リーマン面と与えた方向ベクトルから定まるあるスパンによって特徴付けた。そのサーベイが査読付論文として受理された。S.Hamano: Directional moduli and pseudoconvexity (accepted: 17 July 2023) The conference in the honour of 65th birthday of Athanase Papadopoulos entitled `Essays on geometry` (Birkhauser/Springer).2.柴雅和氏との共同研究で、種数2以上の有限種数標識付き開リーマン面が、ジーゲル上半空間上の点を一意に定めることを明らかにした。また、種数2以上の有限種数標識付き開リーマン面から、同じ種数の閉リーマン面への等角埋め込み全体を考え、その全体がジーゲル上半空間上でどのような集合になっているかを特徴付けた。得られた研究成果を論文としてまとめて投稿した。3.オーバーヴォルファッハ数学研究所や葉山シンポジウムなど国内外の研究集会で得られた成果を発表した。
2: おおむね順調に進展している
目標としている研究の問題点と今後の課題が具体的に明らかになっているため。
2次元擬凸領域をそこで定義された正則関数の定数面/ファイバーの族として捉えたとき、ファイバー上に全空間の擬凸性を反映する良いモジュライを新たに構成することで、2次元擬凸領域のモジュライ理論を展開する。得られた研究成果を国内外の研究集会等で発表することにより、関連する研究者と意見交換し、新しい視点から議論する。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 5件) 備考 (1件)
Oberwolfach Reports (Oberwolfach Workshop 2331-Teichmuller Theory: Classical, Higher, Super and Quantum organized by K.Ohshika, A.Papadopoulos, R.C.Penner, A.Wienhard; Jul.30-Aug.4, 2023)
巻: 20 ページ: 1857~1860
10.4171/OWR/2023/33
The conference in the honour of 65th birthday of Athanase Papadopoulos entitled `Essays on geometry` (Birkhauser/Springer)
巻: ー ページ: ー
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