研究課題/領域番号 |
23K03156
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
澤野 嘉宏 中央大学, 理工学部, 教授 (40532635)
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研究分担者 |
中村 昌平 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (30896121)
田中 仁 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 講師 (70422392)
飯田 毅士 福島工業高等専門学校, 一般教科, 准教授 (60633435)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 極大正則性 / モレー空間 / ヘルツ空間 / Keller-Segel方程式 / べき零リー群 |
研究実績の概要 |
指数増大する関数空間の研究並びに極大正則性の研究を進めた。指数増大する関数空間については、特に局所ハーディー空間についてまとめた。副産物として、変動する指数についてのMuckenhoupt荷重のクラスについての単調性を示すことができた。これは定数指数については自明であるが、変動指数については今まで知られていなかった性質である。次に極大正則性についてはモレー空間をベースとしたベゾフ空間における熱方程式を用いた関数空間の特徴づけを提案して、それの応用としてKeller-Segel方程式の特異極限についての結果を得ることに成功した。これらの研究成果は論文雑誌に掲載済みである。大部分は種々のセミナーにおいて発表した。そのほかの研究成果としては,ヘルツ空間における作用素解析,べき零リー群における畳み込みの性質の考察や変動指数ベクトル値空間の反射性などがあげられる。また、進行中の研究としては、種々の関数空間における楕円型微分方程式の解のアプリオリ評価,一般化カンパナート空間の解析とその応用,荷重つきモレー空間における作用素の有界性の特徴づけ,一般のball Banach空間におけるソボレフ空間の特徴づけなどがあげられる。現時点では、局所Muckenhoupt荷重は局所一様ルベーグ空間並びに周期的関数空間における解析に有効なことぐらいしか分かっておらず,楕円型微分方程式の解の解析に有効であるかどうかはわかっていない。この方面にどのようにして指数増大する関数空間が有効であるかを考察することが2024年度の課題であるといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
極大正則性の議論については,ベゾフ指数を有効に使う技術が浸透したといえるため,十分な研究成果である。しかしながら,指数増大する荷重との関連を見出すのは若干遅れ気味で、さらなる成果を上げたいところである。ただし,楕円型微分方程式の解のアプリオリ評価を得る技術については国内外の研究者との度重なる議論により進歩しており、研究成果を具現化するにはもう少しのところまで来ている。そのほか,関連する空間として荷重付きモレー空間の解析,一般化カンパナート空間の解析などが進歩しており,関連する関数空間の解析が十分に進んでいる。そのほか,人工知能の分野との関連がある研究成果もいくつか得られており,その専門家との議論も展開されている。コロナによる研究活動の事実上の制限から解放されて、精神的な安定を得ることができた。以上のことから,所望の楕円型微分方程式の解のアプリオリ評価における指数増大する荷重の応用こそは得られていないものの,関連する研究成果は着々とあがっているために,研究成果について悲観することはないと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
楕円型微分方程式の解のアプリオリ評価並びに楕円型微分方程式の解の存在についての考察を深めることとする。また,上述のリー群における解析,荷重付きモレー空間の解析などを着実に進めていくこととする。また、研究成果の発表を積極的に行い、京都大学数理解析研究所における研究集会を開催し、類似分野の研究者との意見交換を積極的に行う。また、既存の書籍の改定をすることにより、研究内容、特にモレー空間についての知識を社会に向けて発信する手段を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前半期の猛暑により体調不良が生じたため
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