研究実績の概要 |
変分法的な手法の中に、汎関数が偶関数の場合に genus を用いた Minimax定理により多重解の存在を示す方法がよく知られている. とくに, 汎関数が強圧的で下に有界な場合には、この方法を適用することが容易である. パラーメータを二つ持つ固有値問題に関連した(p,q)-Laplace 方程式の場合において, 対応する汎関数が下に有界でない場合にも適用できるように上手くMinimax 定理の改良を行い多重解の存在を示すパラメータの範囲を拡張することができた. また, Nehari 多様体上でも上手く genus を用いた Minimax 定理の適用を行い, 汎関数のエネルギーが正であるような多重解の存在を示すことに成功した. Lyapunov 不等式は元々は常微分方程式に対して考えられていたが、最近では偏微分方程式、とくに p-Laplace 方程式に対しても研究が行われてきている. この Lapunov 不等式は固有値や解の非存在にも関連している. そこで(p,q)-Laplace 方程式に対するLyapunov 不等式の導出を初めて行った. p-Laplacian の固有値は一般には未解決な部分が多く, 第一や第二固有値を除くと知られている結果も極端に少なく、解析が困難である. そこで、一次元の場合に帰着できて解析を行いやすい球や円環領域の場合の球対称な p-Laplacian の第k固有値の解析を行った. 具体的には, 球対称な第k固有値をよく知られている第一固有値を用いて変分的な特徴づけを行った. これにより, 第k固有値の解析は第一固有値の解析に帰着させることができ, pが1や∞に近づいたときの挙動や, pが動いたときの固有値の単調性または非単調性について解析を行うことに成功した.
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