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2023 年度 実施状況報告書

形式的証明可能性の持つ諸性質の分析

研究課題

研究課題/領域番号 23K03200
研究機関神戸大学

研究代表者

倉橋 太志  神戸大学, システム情報学研究科, 准教授 (10738446)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2028-03-31
キーワード不完全性定理 / 数学基礎論 / 数理論理学 / 証明可能性述語 / 形式的算術 / 証明可能性論理 / 様相論理 / 算術のモデル
研究実績の概要

(1)Rosser型の局所反映原理の保存性:証明可能性述語に基づく反映原理は第二不完全性定理とも関わる重要な研究対象である.Rosser型の局所反映原理の研究はGoryachev(1989)により始められ,Kurahashi(2016)で大きく進んだ.今回は後者の論文において提起された,Rosser型の局所反映原理に対してBeklemishevの保存性定理が成立するか,という問題を中心に,保存性定理の一般化と,保存性定理の成立しないRosser述語の存在証明を行った.本研究は小暮晏佳(金沢大)との共同研究である.
(2)必然化の論理Nの拡張に対する有限フレーム性:Kurahashi(202x)によって全ての証明可能性述語の様相論理がFittingら(1992)の必然化の論理Nと一致することを既に得ている.今回はNに□^mφ→□^nφと適切な推論規則を追加した論理の有限フレーム性の証明を行った.正規様相論理K+□^mφ→□^nφが一般に有限フレーム性を持つかは未解決であり,それに類する問題が解けたことには意義があると思われる.本研究は佐藤雄太(神戸大)との共同研究である.
(3)証明可能性と強制法の様相論理:証明可能性の様相論理GLと強制法の様相論理S4.2はそれぞれ別の文脈において分析されてきた研究対象であるが,証明可能性と強制法は無関係ではない.今回はこれらの研究を統合することを目標に,2重様相論理PFを導入し,それは証明可能性と強制法の様相論理にちょうど一致することを証明した.本研究は高瀬理人(神戸大)との共同研究である.
(4)採集原理のモデル論的特徴づけ:採集原理を満たすモデルの特徴づけは Paris and Kirby(1978)によって与えられているが,今回は特にGaifmanの分割定理に関連する特徴づけを与えた.本研究は南芳明(神戸大)との共同研究である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は特に形式的証明可能性の持つ諸性質の分析について,証明可能性述語,様相論理,算術のモデルなどの各方面からの研究を進めることができた.
(1)によって特に反映原理に関する基本的な理解から,細かな技術的な理解までを深めることができたと言える.また(3)はこれまで別々に発展してきた研究領域を統合でき,個人的には非常に意義のある研究成果であると考えている.得られた研究成果についてはいずれも学術雑誌に投稿した.

今後の研究の推進方策

今年度の研究成果(2)については,様々な証明可能性述語の分析に基づく第2不完全性定理の研究に関する様相論理の側面からのアプローチの部分的な進展という位置づけである.今後はこの成果に基づき,形式的証明可能性の様相論理に関する研究を更に進めていく予定である.

次年度使用額が生じた理由

コロナウイルス感染拡大の影響で研究期間延長をしていた課題に関する研究費の使用を優先的に行ったため。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 1件)

  • [国際共同研究] ユトレヒト大学(オランダ)

    • 国名
      オランダ
    • 外国機関名
      ユトレヒト大学
  • [雑誌論文] On the conservation results for local reflection principles2024

    • 著者名/発表者名
      Kogure Haruka、Kurahashi Taishi
    • 雑誌名

      Journal of Logic and Computation

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1093/logcom/exad076

  • [雑誌論文] The fixed point and the Craig interpolation properties for sublogics of $$\textbf{IL}$$2023

    • 著者名/発表者名
      Iwata Sohei、Kurahashi Taishi、Okawa Yuya
    • 雑誌名

      Archive for Mathematical Logic

      巻: 63 ページ: 1~37

    • DOI

      10.1007/s00153-023-00882-6

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The provability logic of all provability predicates2023

    • 著者名/発表者名
      Kurahashi Taishi
    • 雑誌名

      Journal of Logic and Computation

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1093/logcom/exad060

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The persistence principle over weak interpretability logic2023

    • 著者名/発表者名
      Iwata Sohei、Kurahashi Taishi、Okawa Yuya
    • 雑誌名

      Mathematical Logic Quarterly

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1002/malq.202200020

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Prenex normalization and the hierarchical classification of formulas2023

    • 著者名/発表者名
      Fujiwara Makoto、Kurahashi Taishi
    • 雑誌名

      Archive for Mathematical Logic

      巻: 63 ページ: 391~403

    • DOI

      10.1007/s00153-023-00899-x

    • 査読あり
  • [学会発表] 証明可能性-強制様相論理 PF について2024

    • 著者名/発表者名
      倉橋太志・高瀬理人
    • 学会等名
      第58回MLG数理論理学研究集会
  • [学会発表] 必然化の論理 N の拡張論理の有限フレーム性と補間定理2024

    • 著者名/発表者名
      佐藤雄太・倉橋太志
    • 学会等名
      第58回MLG数理論理学研究集会
  • [学会発表] 証明可能性論理 GR の補間定理2024

    • 著者名/発表者名
      小暮晏佳・倉橋太志
    • 学会等名
      第58回MLG数理論理学研究集会
  • [学会発表] 局所反映原理に関する保存性について2024

    • 著者名/発表者名
      小暮晏佳・倉橋太志
    • 学会等名
      日本数学会 2024年度年会
  • [学会発表] 必然化の論理 N の拡張論理の有限フレーム性2024

    • 著者名/発表者名
      佐藤雄太・倉橋太志
    • 学会等名
      日本数学会 2024年度年会
  • [学会発表] 証明可能性-強制様相論理2024

    • 著者名/発表者名
      高瀬理人・倉橋太志
    • 学会等名
      日本数学会 2024年度年会
  • [学会発表] 理論の不完全性,決定不能性,分離不能性2024

    • 著者名/発表者名
      倉橋太志・Albert Visser
    • 学会等名
      日本数学会 2024年度年会
  • [学会発表] 証明可能性論理 D のカット無しシークエント計算2023

    • 著者名/発表者名
      鹿島亮・倉橋太志・岩田荘平
    • 学会等名
      日本数学会 2023年度秋季総合分科会
  • [学会発表] 局所反映原理における保存性2023

    • 著者名/発表者名
      小暮晏佳・倉橋太志
    • 学会等名
      証明論研究集会2023 証明論と計算論の最前線
  • [学会発表] 理論の不完全性,決定不能性,分離不能性2023

    • 著者名/発表者名
      倉橋太志
    • 学会等名
      第2回 ロジック・ウィンタースクール
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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