• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

量子系・非臨界領域に拡張されたクラスター非平衡緩和法のランダム系への応用

研究課題

研究課題/領域番号 23K03269
研究機関国立研究開発法人物質・材料研究機構

研究代表者

野々村 禎彦  国立研究開発法人物質・材料研究機構, ナノアーキテクトニクス材料研究センター, 主幹研究員 (30280936)

研究分担者 富田 裕介  芝浦工業大学, 工学部, 教授 (50361663)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード非平衡緩和 / 量子ランダム系 / 希釈スピン系 / 臨界現象 / スケーリング解析
研究実績の概要

今年度は専ら、これまで研究に用いてきた計算コードのデバッグに伴う書き換えに費やされ、新規の研究成果はない。ただし、これまで発表してきた研究成果はこのバグの影響は受けないことは確認された。また新規計算コードは従来のものよりも構造が簡明で、今回のような特定不能のバグが混入する可能性は少ないと期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

研究は順調に進捗しているかに見えたが、従来用いていた計算コードにランダムネスを導入すると緩和時間が大幅に延び、それに応じた計算ステップを取ると、従来コードにはバグが含まれ、その時間スケールで初めてバグの影響が見えてくることがわかった。このバグの箇所を特定しようとしたが困難で、計算コードを一から書き直したが(バグはタイプミス的なものだと仮定して)不審な振舞は変わらず、開発言語をfortranからC++に変更して再び一から書き直したため(この計算コードはC++で書いた方が構造が単純になることはわかっている)。

今後の研究の推進方策

予定外の計算コード書き直しのため研究の進捗は遅れているが、それで研究課題が変わるわけではない。内外の研究者と競争する研究ではなく、長らく停滞していた課題を非平衡緩和法という新しい計算手法で解決しようとする研究だからである。ただし、必要な系のサイズがかなり大きいことが先行研究及び予備的研究で判明している量子希釈系よりも、ランダムダイマー系を先に研究する。続いて量子希釈系を研究する。まず一様系を希釈し、臨界現象の推定に必要な系のサイズを見積もる。次にダイマー化した系を希釈する。希釈しなくてもダイマー化の強さに応じてネール秩序相とダイマー相の量子相転移が起こり、我々もこの量子相転移を非平衡緩和法で調べている。ネール相に含まれる系を希釈しても定性的な振舞は一様系と変わらないが、ダイマー相に含まれる系を希釈すると、希釈で切れたダイマーボンドの片割れのスピンがネール秩序を形成する定性的に新しい振舞を示す。ただし先行研究では、この新規相の境界における臨界現象までは調べられておらず、この未解決問題を調べる。最後に、ランダムダイマー系を希釈する。ランダムダイマー系の臨界現象は一様ダイマー系の臨界現象とは普遍性が異なることが先行研究では指摘されているが、ダイマー相の希釈で生じる新規相の振舞が一様ダイマーの場合とランダムダイマーの場合で異なるのかどうかは、興味深い未解決問題である。

次年度使用額が生じた理由

旅費など、物品費以外の支出が予定よりも少なかったためである。大きな金額ではなく、研究実施期間の必要な時期に、論文執筆・学会発表等に用いるラップトップ計算機の更新に用いる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Cluster nonequilibrium relaxation in quantum phase transitions2023

    • 著者名/発表者名
      Yoshihiko Nonomura, Yusuke Tomita
    • 学会等名
      STATPHYS 28
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi