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2023 年度 実施状況報告書

ダイバータ用タングステンの微視的変形挙動に着目した照射脆化メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K03357
研究機関福井大学

研究代表者

東郷 広一  福井大学, 工学部, 班長 (80726589)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードタングステン / TEM内引張「その場」観察法 / 障害物強度因子 / 照射硬化 / キャビティ / 温度依存性
研究実績の概要

核融合炉用ダイバータ候補材であるタングステンには、中性子照射に伴い、照射脆化(照射硬化)の原因となるキャビティや転位ループなどの照射欠陥が発生する。本研究では中性子環境下におけるダイバータ材の高寿命化を目指し、タングステンにおける照射硬化の温度依存性を結晶粒内・粒界部などの微細組織における材料硬化メカニズム(照射脆化メカニズム)の観点から解明することを目的とした。中性子照射同様、放射化せずにタングステン中にキャビティを生成することができるヘリウムイオン照射を行い、引張試験に伴い発生する転位(原子のズレ)とキャビティの相互作用から求められる硬化の度合い(障害物強度因子)や結晶粒内・粒界部の硬さ・強度が、温度や照射欠陥発生の有無にどのように影響を受けるかを明らかにする。
今年度は障害物強度因子の温度依存性を調べるため、純タングステン試料にキャビティ(2nmサイズ)を発生させた後、透過型電子顕微鏡(TEM)内引張「その場」観察法を用いて、700℃の温度環境下におけるキャビティの障害物強度因子を調べた。700℃での障害物強度因子の値は、今までに実験を行った室温、450℃のものより小さな値を示しており、障害物強度因子の温度依存性が確認された。また室温にて認められた障害物強度因子の結晶方位(転位のすべり面)依存性は、700℃では450℃と同様、確認することができなかった。
次年度は、タングステン中により大きなキャビティ(3、4nmサイズ)を発生させ、障害物強度因子のキャビティサイズ依存性を調べる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

TEM内引張「その場」観察法を用いて、高温環境下(700℃)でのタングステンにおけるキャビティ(2nmサイズ)の障害物強度因子の定量化、並びに温度依存性を確認することができた。温度の違いに伴う材料硬化の変化を、微視的領域における転位とキャビティの相互作用(材料硬化メカニズム)の観点から評価することができ、今年度の目標をおおむね達成することができた。

今後の研究の推進方策

次年度はタングステン中により大きなキャビティ(3、4nmサイズ)を発生させ、室温環境下でのTEM内引張「その場」観察を行い、障害物強度因子のキャビティサイズ依存性を調べる。併せて、温度やヘリウムイオン照射に伴うタングステンの硬化量の変化も調べるため、高温環境下でのナノインデンテーション硬さ試験やビッカース硬さ試験についての準備・検討も行っていく。

次年度使用額が生じた理由

今年度のTEM内引張「その場」観察の実験が予定よりもうまく進み、実験回数を抑えることができたことから装置使用料、それに伴う旅費の部分で残額が生じた。次年度は今年度節約できた分も含め、材料や消耗品の購入費、TEM内引張「その場」観察や硬さ試験のための設備使用費や旅費等に充てる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 純タングステンにおける運動転位-キャビティの相互作用の温度依存性に関する研究2024

    • 著者名/発表者名
      水野魁人, 東郷広一, 福元謙一, 石神龍哉
    • 学会等名
      日本原子力学会 2024年春の年会
  • [学会発表] 核融合炉ダイバータ用純Wにおける運動転位と照射欠陥の相互作用に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      水野魁人, 東郷広一, 福元謙一, 石神龍哉
    • 学会等名
      日本金属学会・日本鉄鋼協会 北陸信越支部 令和5年度支部総会・連合講演会

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公開日: 2024-12-25  

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