研究課題/領域番号 |
23K03369
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研究機関 | 日本医療大学 |
研究代表者 |
西山 修輔 日本医療大学, 保健医療学部, 教授 (30333628)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 飽和吸収分光法 / 位相変調法 / ラムディップ |
研究実績の概要 |
本研究は、シースおよびプレシースにおける電界構造の実験的計測が可能となる、半導体レーザーを光源としたプラズマ中の高感度電界計測法の開発を行うことが目的である。通常の吸収分光法に比べて飛躍的に感度向上が見込まれるキャビティリングダウン吸収分光法(CRDS法)において、共振器をリングキャビティとすることで飽和吸収スペクトルの取得に適する光学系として高波長分解能による高い電界計測感度を維持しながら高い吸収感度による適用可能なプラズマの条件拡大を見込んでいる。 初年度である本年度では、実験に使用するICPプラズマ装置を移設する必要が生じたため、光学共振器の検討および設計をと並行して、キャビティリングダウン吸収分光法より簡潔な光学系で比較的高い吸収感度が期待できる位相変調法による飽和吸収スペクトルの計測を行った。電界計測に用いる水素原子のバルマーα線と近い波長であり、適度な吸光度であるヘリウムプラズマの1重項2P-3D吸収線(667.815nm)対象として、1%程度の吸収ピークにある相対深さ1/20程度のラムディップが検出可能であった。ロックインアンプを用いることで吸収感度の向上を図ったが、更なる吸収感度向上には光検出器の低雑音化や位相変調に用いる電気光学素子に加える高周波信号の遮蔽の必要性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験装置を移設する必要が生じ、その後の装置の調整にやや時間を要した。そのため、リングキャビティの製作とCRDS法による実験を行うことができなかったが、代替となる位相変調法を用いて実験装置の調整を進め次年度以降の研究には支障がない状態となった。
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今後の研究の推進方策 |
ICP装置にリングキャビティを設置して水素プラズマにおける吸収感度の確認を行い、ポンプ光を導入してラムディップの検出を行う。補助的な手段として、直線型キャビティの光軸に浅い角度でポンプ光となる高強度レーザーを重ねる方法でラムディップの検出を行う方法を検討する。プラズマ中に設置した電極がリングキャビティに及ぼす影響を確認し、電極に直流電圧を印加してシュタルクスペクトルの計測、電界計測感度の評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は実験装置の移設に伴いリングキャビティの検討が遅れたため、使用する高反射率ミラーの購入を翌年度に持ち越して次年度使用額が生じた。次年度で当初予定していた高反射率ミラーの購入を行う計画である。
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