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2023 年度 実施状況報告書

開弦の場の理論による閉弦理論の定式化

研究課題

研究課題/領域番号 23K03388
研究機関奈良女子大学

研究代表者

高橋 智彦  奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (10324956)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード弦理論 / BRST形式 / 降下方程式 / 閉弦2点振幅 / Virasoro-Shapiro振幅
研究実績の概要

タキオン真空における開弦の場の理論において、ゲージ不変量の相関関数の計算手法を確立するための準備を行った。このゲージ不変量の相関関数は閉弦散乱振幅に等しいという予想されるため、まず閉弦頂点演算子の閉弦散乱振幅について再考察を行い、以下の結果を得た。
弦理論において、世界面としての複素上半平面に作用するPSL(2,R)対称性のゲージ固定について考察することにより、様々なゴースト数をもつ閉弦頂点演算子を構成した。従来の演算子を拡張したもので、微分形式とゴースト場との対応が明白になる定式化を行った。その結果、様々な閉弦頂点演算子が降下方程式によって関係づけられることが明らかになった。
この研究によって構成できるゴースト数3をもつディラトン頂点演算子を用いて、BRST形式においてディラトン1点関数が導出できることを示した。従来は世界面上の積分として得られるオイラー数の寄与が、局所的な頂点演算子によって与えられることも明らかにした。
降下方程式をみたす閉弦頂点演算子を用いて、今までの研究で提唱した mostly BRST exact演算子との相関関数を計算し、閉弦2点振幅をBRST形式において導出することに成功した。BRST不変性と共形不変性の両方が明白な導出法である点が、本研究の計算手法の特徴となっている。
さらに、閉弦2点振幅の導出法を一般化し、閉弦4点振幅であるVisasoro-Shapiro振幅を導出することにも成功しており、学術論文において出版するための準備を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

開弦の場の理論によって閉弦理論を定式化するためには、閉弦理論を従来とは違う視点で眺め、新たな理解を深めることが重要であると考えられる。様々なゴースト数をもつ閉弦頂点演算子や降下方程式を用いた閉弦理論についての考察は、今まで行われてこなかったものであり、このような理解が進んだ点を踏まえて、本研究は順調に進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

Virasoro-Shapiro振幅に関する論文をまとめる作業をまずは行い、閉弦頂点演算子の研究において現れた次の課題について研究を行っていく。(1) 超弦理論において、様々なゴースト数をもつ閉弦頂点演算子を構成し、これらが超対称性をもつ降下方程式の中でどのような関係をもつのかを明らかにする。(2) ゴーストのある特定の組み合わせをもつ頂点演算子はBRST exact状態であると予想できたが、この証明を行う。(3) mostly BRST exact演算子と降下方程式の関係について明らかにし、散乱振幅の計算に適用する。
これらの課題について研究を行いつつ、開弦の場の理論による閉弦理論の定式化を目指す計画である。

次年度使用額が生じた理由

当初計画していた計算機の導入に遅れが生じている。半導体価格の高騰、Linux OSの状況 (CentOS projectの打ち切り)、学内業務等により、機種の選定が遅れたことが理由である。次年度には機種を決定し、次年度使用額を執行する計画である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Closed string vertex operators with various ghost number2024

    • 著者名/発表者名
      Kishimoto Isao、Kouga Mako、Seki Shigenori、Takahashi Tomohiko
    • 雑誌名

      Nuclear Physics B

      巻: 1004 ページ: 116549~116549

    • DOI

      10.1016/j.nuclphysb.2024.116549

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Two-point closed string amplitudes in the BRST formalism2024

    • 著者名/発表者名
      Kishimoto Isao、Seki Shigenori、Takahashi Tomohiko
    • 雑誌名

      Physics Letters B

      巻: 853 ページ: 138657~138657

    • DOI

      10.1016/j.physletb.2024.138657

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Mostly BRST Exact演算子による開弦2点振幅の再考察2024

    • 著者名/発表者名
      岸本功, 関穣慶, 高橋智彦, 山本蘭菜
    • 学会等名
      日本物理学会2024年春季大会
  • [学会発表] Mostly BRST Exact演算子と降下方程式によるVirasoro-Shapiro振幅の考察2024

    • 著者名/発表者名
      石井美優, 岸本功, 関穣慶, 高橋智彦
    • 学会等名
      日本物理学会2024年春季大会
  • [学会発表] Mostly BRST Exact演算子によるVirasoro-Shapiro振幅の導出2023

    • 著者名/発表者名
      岸本功, 関穣慶, 高橋智彦
    • 学会等名
      日本物理学会第78回年次大会
  • [学会発表] 閉弦の頂点演算子と降下方程式2023

    • 著者名/発表者名
      岸本功, 関穣慶, 高橋智彦
    • 学会等名
      日本物理学会第78回年次大会

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公開日: 2024-12-25  

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