研究課題/領域番号 |
23K03392
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
波場 直之 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (00293803)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | ニュートリノ / マヨラナ質量 / パリティの破れ / 大統一理論 / バリオン生成 / CPの破れ |
研究実績の概要 |
(1): non-SUSY SO(10) GUTについて新しい研究を行なった。SO(10)が、Pati-Salam model、または、left-right symmetric modelのゲージ群に破れることを考え、SU(2)Rの破れと、パリティの破れや右巻きニュートリノのマヨラナ質量との相関を調査した。ミニマルなセットアップとして、ヒッグス場が10表現と126表現の複素スカラー場を考えた。このとき、標準模型湯川結合が実験値を再現するように解析した。解析の結果、以下の結果を得た。(a) 順階層の場合、ディラックCP位相δは、-2.4rad < δ < -1.2rad or 1.2rad < δ < 2.4radの範囲に入りやすい一方、δ ~ πにはならないことが分かった。(b) 順階層の場合、θ_23 > π/4 になりやすいことが分かった。(c) 順階層・逆階層どちらの場合でも、一番軽いニュートリノ質量は、Δm_21^2と比べて階層的に小さいことが分かった。 (2): Higgsとdark matterの、対称性で禁止できない高次の相互作用によって、適切な量のdark matterが初期宇宙においてフリーズイン機構で生成される可能性を示した。 (3): SU(5) GUTに45表現ヒッグス場を導入することで、ゲージ結合定数統一条件が満たされる場合、陽子崩壊についてKメソンへの崩壊がメイン・モードになり、ハイパーカミオカンデ実験で検証の可能性があることを示した。 (4): ニュートリノの極微質量がタイプ2シーソー機構で実現されている場合、ヒッグス・ポテンシャルの平坦方向からLボールが生成され、現在の宇宙の物質ー反物質非対称性が得られる可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初期宇宙のSU(2)R相転移の重力波観測での検証可能性、Higgsとダークマターの(繰り込み不可能であるが対称性で禁止できない)相互作用によるバリオン生成機構の観測による検証可能性、超対称性標準模型におけるflat directionをインフラトンとみなし、さらに、その崩壊によってバリオンが生成される可能性の調査、なども遂行する予定であったが、時間とマンパワーの不足で完遂できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
まず、SU(2)R相転移が引き起こす重力波観測の検証可能性、Higgsとダークマターの相互作用によるバリオン生成機構の検証可能性、超対称性標準模型におけるflat directionがインフラトンとなり、かつ、崩壊によってバリオンが生成される可能性の解析を完遂させる。次に、それらの研究とニュートリノ物理の関係を調べて、ニュートリノや標準模型を超える物理についての新しい知見を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた研究打ち合わせの出張が延期になったため。今年度に行ないたい。
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