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2023 年度 実施状況報告書

特性X線と荷電粒子の同時較正による宇宙線反粒子観測の高度化

研究課題

研究課題/領域番号 23K03436
研究機関神奈川大学

研究代表者

清水 雄輝  神奈川大学, 工学部, 教授 (60434320)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード反粒子 / 暗黒物質 / 特性X線
研究実績の概要

宇宙線反粒子測定器GAPSのフライトモデル組み上げ中の試験として、熱制御システムのテストおよび測定器による宇宙線ミューオン測定を行った。
測定器の中核をなすシリコン検出器アレイはリーク電流の低減によるエネルギー分解能の確保のため冷却の必要があり、地上用冷却システムを用いたフライトモデル熱制御システムの長期間の運用試験を実施した。遠隔でのモニタリングシステムを導入し、熱制御システムおよび地上用冷却システムを常時稼働させて、24時間体制での監視のもとシリコン検出器アレイの長期的な冷却を行った。観測フライト時に予定する-40℃程度の温度まで冷却を行い、シリコン検出器アレイの温度応答を評価するためのデータを取得した。また、熱制御システムに用いるサーモサイフォン方式ヒートパイプの挙動を理解するための予備試験を行い、熱負荷を変えた場合の冷媒流体の流速の測定を行った。加えて、フライトモデルの断熱に用いるポリスチレンフォームの熱伝導率を気球高度と同等の真空条件で測定し、設置する断熱材の必要量を評価するためのデータを得た。
また、GAPS測定器を構成するTime-of-Flightシンチレーションカウンタおよびシリコン検出器アレイによる宇宙線ミューオンの測定により、ミューオンの飛跡データを取得した。このデータを解析し、飛跡ミューオンとSi原子核の形成するエキゾチック原子崩壊から生じるX線を検出することで、X線に対する検出効率を評価する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

GAPS測定器のフライトモデル組み立て中の試験において、長期的な熱制御システムの稼働およびシリコン検出器の冷却を試すことができ、シリコン検出器アレイ全体の温度応答を評価するための基礎データが得られた。熱制御システムに用いるヒートパイプの特性評価として、冷媒圧力や熱負荷による冷媒流量や熱輸送能力の変化を測定した。また、シリコン検出器アレイの冷却を行いながら、宇宙線ミューオンの測定を行い、検出器の較正に必要なデータを取得した。

今後の研究の推進方策

次年度は気球設備とのかみ合わせ試験の実施後、再度長期的な宇宙線ミューオン測定が行われる予定である。この測定データにより、検出器各素子のエネルギー較正を行うとともに、測定器のアライメント較正およびミューオンにより形成されるエキゾチック原子崩壊過程を利用したX線検出効率等を行う。較正用データならびにGEANT4モンテカルロシミュレーションを用いて測定器応答を評価し、粒子識別のための解析手法の改良を進める。また、その後測定器フライトモデルを南極に輸送する予定であり、年度後半には高高度気球による初回観測フライトを実施するスケジュールとなっている。フライトで得られた観測データの初期解析を行い、sub-GeV領域の反重陽子の検出を試みる。

次年度使用額が生じた理由

アメリカで実施する測定器フライトモデルの冷却試験の操作・モニタリングを遠隔で行うことが可能になったことにより、アメリカでの試験における現地作業がキャンセルとなった。繰り越し分は次年度予算と合わせて、気球かみ合わせ試験の渡航費および観測データ解析に必要となるワークステーション、NASの購入に割り当てる予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] コロンビア大学/ハワイ大学/ノースイースタン大学(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      コロンビア大学/ハワイ大学/ノースイースタン大学
  • [雑誌論文] New Particle Identification Approach with Convolutional Neural Networks in GAPS2023

    • 著者名/発表者名
      Masahiro YAMATANI, Yusuke NAKAGAMI, Hideyuki FUKE, Akiko KAWACHI, Masayoshi KOZAI, Yuki SHIMIZU, and Tetsuya YOSHIDA
    • 雑誌名

      Journal of Evolving Space Activities

      巻: 1 ページ: No. 9

    • DOI

      10.57350/jesa.9

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 宇宙線反粒子測定器GAPSの南極初回フライトに向けた総合試験の状況報告2023

    • 著者名/発表者名
      清水雄輝, 入江優花, 永井大洋, 鈴木俊介, 佐々木文哉, 和田拓也, 吉田篤正, 福家英之, 水越彗太, 小川博之, 岡崎峻, 高橋俊, 山谷昌大, 吉田哲也, 小財正義, 加藤千尋, 宗像一起, 平井克樹, 河内明子, 川本裕樹, 木間快, 奈良祥太朗, 清水望, C.J.Hailey, M.Boezio, for the GAPS Collaboration
    • 学会等名
      宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所大気球シンポジウム (2023年度)

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公開日: 2024-12-25  

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