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2023 年度 実施状況報告書

原子スイッチFPGAの素粒子実験への応用研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K03439
研究機関大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構

研究代表者

谷口 七重  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (90546946)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード放射線耐性 / 高エネルギー実験 / 素粒子実験 / エレクトロニクス
研究実績の概要

将来の高エネルギー実験では、加速器の輝度向上や強度増強によって、非常に高いレベルの放射線環境下となることが予想され、ガンマ線等による蓄積ダメージや中性子等によるソフトエラーが問題となる見込みである。そのため、センサーやエレクトロニクスともに、高い放射線耐性が要求される。また、地表における宇宙線起因のソフトエラーがもたらすサーバーや自動運転システム、医療機器などへの影響についても注目が高まっている。
本研究では、標準的な半導体スイッチを用いたFPGAとは根本的に構造が異なる原子スイッチFPGAの素粒子実験への応用を目指している。電荷を制御することでスイッチを切り替える半導体スイッチに対して、原子による架橋の形成および消失によってオンオフを実現する原子スイッチは、電荷の影響を受けないため、原子スイッチFPGAでは原理的に中性子などによるソフトエラーは起こらない。共同研究者による放射線試験において、非常に高い放射線耐性が期待できる結果が得られている。
今年度は、素粒子実験で一般的な時間応答が速い測定器のパルス信号を読み出す前段階として、原子スイッチFPGAを中心とした環境モニター(スローモニター)の汎用基板をデザイン・製作し、中性子照射試験を行なった。中性子照射中に環境温度測定を行い、世界で初めて、原子スイッチFPGAを用いた環境モニターとして、中性子照射中の動作を確認した。この結果について、2024年4月開催のReal Time 国際会議で共同研究者による講演で報告されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、高エネルギー実験の汎用的な検出器信号を、原子スイッチをベースとしたエレクトロニクスで読み出すことを目指している。これまで前例がないことから、一足飛びに進めるのではなく段階を踏んで、まずはスローモニターを開発し、性能評価を行うことで、速い信号の読み出しに必要な条件や開発要素の知見を得ようとしている。
昨年度は、評価基板の製作および動作試験を達成したことから、おおむね順調に研究が進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

昨年度の中性子照射試験では、10^11/cm2 程度の照射量であったため、さらに高い放射線レベルでの試験を行う。今回製作した基板は、市販のFPGA評価ボードのデザインを踏襲しており、汎用的なI/Oなどを搭載している。これらの機能を活用して、動作確認と性能評価をさらに進め、速い信号読み出し回路のデザインについて検討を進める。
また、ファームウェアの開発を通して、ユーザープラットフォームのアップグレードについて、企業との共同開発をどのように進めるかを検討する。

次年度使用額が生じた理由

原子スイッチを中心としたスローモニターのための汎用評価基板を製作し、動作確認と照射試験を行った。それを元にデザインを修正し、改訂版を製作することを当初は予定していたが、追加の照射試験およびテストベンチでのテストをさらに重ねた後に、改版を行うことが効率がよいと判断した。
今回製作した基板の機能を余すところなく評価および活用し、検出器信号読み出し用基板デザインの重要なステップとする。また、スローモニターとしての利用価値を評価するため、照射施設での試験に加え、加速器実験環境下でのテストを行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Development of Radiation-tolerant Slow-Control Board based on Atom Switch-based FPGA2024

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Ueno
    • 学会等名
      24th IEEE Real Time Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] 原子スイッチFPGAの 加速器実験応用の検討2023

    • 著者名/発表者名
      上野一樹
    • 学会等名
      日本物理学会

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公開日: 2024-12-25  

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