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2023 年度 実施状況報告書

放射線損傷した半導体検出器システムの回復手法(ヒーリング)の実験的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K03443
研究機関大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構

研究代表者

坂口 将尊  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 技師 (70626796)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワードトランジスタ / MOSFET / 放射線耐性 / 放射線損傷 / 照射効果 / TID / トータルドーズ効果 / ヒーリング
研究実績の概要

加速器の高輝度化・高エネルギー化が進む高エネルギー物理学実験では放射線検出器における放射線耐性が重要となってきている。半導体照射効果はTID(トータルドーズ効果)、SE(シングルイベント効果)、DD(はじき出し損傷効果)などが知られいる。このうちTID(トータルドーズ効果)は放射線による電離作用の影響が蓄積し、半導体素子が最終的に故障に至る。これは恒久的な(回復できない)放射線損傷と考えられてきたが、本研究ではTIDからの回復手法(ヒーリング)について研究する。放射線の影響はASIC内部の素子サイズやレイアウト、製造プロセスにも依存することが知られている。このため、まずはトランジスタ素子単体レベルでの放射線照射試験とヒーリングの条件出しを行う予定でいる。
今年度は試験サンプルとして使うトランジスタTEGの設計と評価セットアップの設計をした。放射線耐性という観点ではまずは放射線に強いプロセスの探索が基本であり、高エネルギー物理学実験で利用されている製造プロセスを調査した。高エネルギー物理実験で利用が広まっているTSMC社65nmプロセスに注力して研究を進めることにし、現実的に利用されるサイズ領域でトランジスタを設計した。一般的には小さい素子サイズほど照射効果が大きく生じ、トランジスタ特性が大きく劣化するためこの研究に適しているともいえる一方で、あまりにも小さいサイズは現実的に回路設計に利用されない。この辺りを勘案してサイズを決定した。トランジスタ形状(素子レイアウト)については、これまで様々な研究者が放射線耐性を高めるための形状が提案されてきたが、まずは基本的な形状である一文字形状(Regular Layout)とした。また試験には評価セットアップ(評価基板や測定機器)が必要であるため、その概念設計も行った。来年度以降に製造および必要な物品を購入し試験に取り掛かる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

評価サンプルTEGの設計をすることができた。また、評価セットアップの設計も進めることができた。放射線耐性という観点ではまずは放射線に強いプロセスの探索が基本であり、当初の予定では複数の商用プロセスでトランジスタサンプルを設計する当初予定だったが、予算面からまずはTSMC社65nmプロセスに注力して研究を進めることにした。

今後の研究の推進方策

まずはTSMC社65nmプロセスにてサンプルTEGを製造して照射効果の評価と回復手法(ヒーリング)概念実証に注力する。前年度設計した評価基板などを製造し、評価試験に必要なセットアップの構築を進める。次にトランジスタのガンマ線照射試験とヒーリング操作の条件だしを行う。放射線照射試験については所属機関内にあるX線源の利用も考えている。これは放射線照射試験はQST高崎研コバルト照射施設など外部機関で実施してきたが、昨今の物価高の影響で照射費用が今年度から大幅に値上がりし、評価試験の試行回数が少なくなってしまうため。ただし、この場合には自前で線量評価を実施したり照射治具を別途用意する必要がある。

次年度使用額が生じた理由

今年度は設計作業に注力したため。また、ソフトウェアライセンス負担金は所属グループの予算で支払っていただけた。次年度に設計した評価セットアップの製造を行う。

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公開日: 2024-12-25  

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