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2023 年度 実施状況報告書

温暖化の進行が浅い湖水中の溶存メタン動態に及ぼしている影響の解析

研究課題

研究課題/領域番号 23K03489
研究機関筑波大学

研究代表者

内海 真生  筑波大学, 生命環境系, 教授 (60323250)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード溶存メタン / 動態 / 湖沼水中 / 温暖化
研究実績の概要

R5年度は、霞ヶ浦(西浦)の3調査地点(高浜入り、湖心、土浦入り)での現地調査を季節ごとに計4回実施し、各地点の溶存メタン濃度および溶存メタン酸化速度測定用試料をニスキン-X採水器を用いて採取した。採取した試料をバイアルビンに分注、現場環境下で培養を行いビン内の溶存メタン濃度変化を測定することでメタン酸化速度を算出した。現地調査時に、水環境の物理化学的因子(水温、pH、溶存酸素、酸化還元電位)等をリアルタイムで測定した他、栄養塩濃度(全窒素、硝酸態窒素、亜硝酸態窒素、アンモニア態窒素、及びリン酸態リン、溶存態炭素、等)を測定し、各地点の水質状況を把握した。各地点で採取した水試料についてフィルターろ過し微生物細胞を集積した後、DNAを抽出し、メタン酸化に関係する機能遺伝子であるpmoAを標的にリアルタイムPCRを行うことで、メタン酸化機能遺伝子コピー数を求めた。フィルターから抽出したDNA試料を用い、16S rDNAおよびpmoA遺伝子配列解析を行い、全体の微生物群集構造とメタン酸化細菌の群衆構造とその変化の把握を試みた。本年度の現地調査ならびに各種測定の結果、溶存メタン濃度の季節変化については30年前の変動と大きな違いは認められなかった。一方、メタン酸化速度の季節変化については、30年前は夏季から秋季にかけて高い比メタン酸化速度であったが、R5年度の研究からは春季にも比較的高い比メタン酸化速度を有していることが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現地調査を伴う研究であるため予定通りに進まない場合もあり得るが、協力機関(茨城県霞ヶ浦環境科学センター)との調整で季節ごとに研究対象の霞ヶ浦(西浦)3地点での現地調査が滞りなく実施できている。調査準備を含め、調査当日の調査船上での観測、実験室に戻っての試料処理や培養なども、これまでの経験を生かして大きな問題無く実施できている。遺伝子解析に関しては、本年度、フィルター試料の作成方法、DNA抽出方法などの検討を行い、解析を行い結果を得るための方法についてある程度確立できたと言えることから、おおむね順調に進展していると判断している。

今後の研究の推進方策

R6年度も計画的に年4回の霞ヶ浦(西浦)現地調査を実施し、溶存メタン濃度、メタン酸化速度の測定を継続する他、水温、溶存酸素濃度、各種栄養塩濃度などの物理・化学環境因子の測定も実施する。さらに、R5年度にほぼ確定したフィルター試料からのDNA抽出により、微生物群集構造解析や定量PCRによるメタン酸化の機能遺伝子コピー数の季節変化について明らかにしていくことに取り組む。最終的に、30年前の調査研究時の溶存メタン濃度やメタン酸化速度の季節変動と今回の測定結果に違いがあるのかを解析する他、微生物群集やメタン酸化細菌群集の季節変化について解析を行う。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] Seasonal change of aerobic methane oxidation in Lake Kasumigaura2024

    • 著者名/発表者名
      Nguyen Thi Khanh Huyen, Oouchi Takao, Li Qintong, Utsumi Motoo
    • 学会等名
      第58回日本水環境学会
  • [学会発表] 富栄養化湖沼底泥における生物的メタン消失過程の解明2024

    • 著者名/発表者名
      矢野翔也、内海真生、李沁潼
    • 学会等名
      第58回日本水環境学会
  • [学会発表] 霞ヶ浦湖底境界層におけるメタン酸化活性の季節変化2024

    • 著者名/発表者名
      北澤虎鉄、内海真生、李沁潼
    • 学会等名
      第58回日本水環境学会

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公開日: 2024-12-25  

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