研究課題/領域番号 |
23K03510
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研究機関 | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 |
研究代表者 |
高橋 良 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 産業技術環境研究本部 エネルギー・環境・地質研究所, 研究主査 (30446372)
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研究分担者 |
竹内 晋吾 一般財団法人電力中央研究所, サステナブルシステム研究本部, 上席研究員 (50397030)
田中 良 北海道大学, 理学研究院, 助教 (30804926)
上澤 真平 一般財団法人電力中央研究所, サステナブルシステム研究本部, 主任研究員 (00751504)
藤原 寛 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 産業技術環境研究本部 エネルギー・環境・地質研究所, 研究職員 (40965761)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 熱水変質帯 / 活火山 / 山体崩壊 / 水蒸気噴火 / 浸透率 / 空隙率 |
研究実績の概要 |
令和5年度は、浸透率測定装置の作製、十勝岳火山群のヌッカクシ火口域の熱水変質帯の調査・各種分析、および十勝岳の熱水変質岩の浸透率測定を行った。浸透率測定装置については、竹内(2022)を基に作製し、当初の計画通りに岩石の浸透率を測定できる環境を整備した。後述の通り、十勝岳などの岩石の浸透率を測定できている。ヌッカクシ火口域では約16万年前、および6万年前以降に山体が形成されたが、山体崩壊によってその内部が観察できる状況にある。この火口域では現在も噴気活動が続いており、活火山内部に形成される熱水変質帯を直接観察できる。そこで、この火口域において地質調査を行うことで熱水変質岩の分布状況や変質状況などを把握するとともに、室内分析によって熱水変質鉱物組み合わせや岩石の浸透率を検討した。それによって、原岩(溶岩、角礫岩など)の浸透率の違いによって熱水変質作用の特徴や変質強度が異なることや、熱水変質作用によって浸透率が変化したことが分かった。また、既存研究によって熱水変質岩の特徴や空隙率が明らかとなっている十勝岳の1926年噴火の岩屑なだれ堆積物や1988-1989年噴火の熱水変質作用を受けた火山弾、山体を構成する新鮮な溶岩に対して浸透率の測定を行った。それによって、原岩の溶岩と熱水変質岩の浸透率と空隙率の関係を明らかにした。これらの実測した浸透率や空隙率を用いて熱水流動シミュレーションを行うためのデータセットやパラメータの設定、シミュレーションの方針を決めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度の計画の中で優先度の高かった浸透率測定装置の作製について、計画通りに作製し、実際に岩石の浸透率の測定ができる環境を整えた。また、調査対象である十勝岳については、現在の火山活動域(十勝岳)のほかに、山体内部が観察できる古い山体(ヌッカクシ火口域)についても検討した。そのため、当初の計画以上に活火山内部の熱水変質帯についての知見を得ることができた。十勝岳における熱水流動シミュレーションについては、浸透率測定装置を作製し、実際に浸透率や空隙率を測定した後に行う必要があったため、まだ実際の作業を行うことはできていない。しかし、シミュレーションを行う準備はできており、今後早い段階で取り掛かることができる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、十勝岳における熱水流動シミュレーションを行い、現在の活動火口域で観測されている現象のメカニズムなどについて、熱水変質帯での浸透率や空隙率の変化が与える影響などを検討する。また、引き続きヌッカクシ火口域での調査を行い、活火山内部の熱水変質帯に対する知見を収集する。また、十勝岳とは異なるタイプの熱水変質帯が分布することが考えられる北海道駒ヶ岳や樽前山について十勝岳と同様の調査・分析・シミュレーションを行う。それによって、山体を構成する岩石の特徴が熱水変質帯の形成に与える影響や、熱水変質作用による岩石の浸透率や空隙率の変化が水蒸気噴火や山体崩壊といった火山現象に与える影響を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
十勝岳火山群のヌッカクシ火口域の岩石試料について、熱水変質岩の特徴の把握や岩石の浸透率の測定を行った後に岩石の空隙率を測定する試料を選定したところ、その選定が年度の遅い時期になってしまった。そのため、空隙率測定の委託に関して年度内での完了が難しくなり、その測定をR6年度に変更した。また、研究者内での現地調査の日程調整が合わずに、共同での現地調査ができなかった。共同調査はR6年度に行う予定である。さらに、当初は浸透率測定装置のみを作製する計画だったが、空隙率測定装置についても安価に作製できる目途が立ったため、繰越額はその作製費用にも使用する予定である。
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