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2023 年度 実施状況報告書

衛星と地上からの観測と気象モデルに基づく火山ガス放出率の推定技術とマグマ活動解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K03512
研究機関気象庁気象研究所

研究代表者

高木 朗充  気象庁気象研究所, 火山研究部, 部長 (70354537)

研究分担者 橋本 明弘  気象庁気象研究所, 気象予報研究部, 室長 (20462525)
森 健彦  気象庁気象研究所, 火山研究部, 主任研究官 (60378601)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードSentinel-5P / TROPOMI / 二酸化硫黄 / 気象データ
研究実績の概要

広域の二酸化硫黄ガス(SO2)の分布状況を、衛星データ(Sentinel-5P衛星に搭載されたTROPOMIセンサーによるカラム濃度)を用いて基礎的な2つの調査を行った。
まずは、マグマ噴火に至るような大規模な噴火活動のポテンシャルの評価のため、過去5年間のデータを用い、わが国の活火山から放出されるSO2の平均的な分布及び放出率について概観した。雲域の有無を考慮せず平均化すると過小見積もりとなるため、気象衛星ひまわりの輝度温度分布データを用い、雲により検知が阻害されていると考えられる日と地点を除いて平均化して、国内の火山から放出されるSO2分布域を1年毎に確認した。加えて、火口付近の平均的な風速を用い、各火山からの平均的なSO2の放出率を1年毎に概算した。これらのうち、6火山(阿蘇山、桜島、薩摩硫黄島、諏訪之瀬島、浅間山、西之島)では、500~2,300 ton/day の放出率で活発な放出活動を継続しており、とくに西之島の2020~2021年は最も活発な放出活動であることを確認した。
次に、気象データに基づく火山からの放出率計算手法における検討を行った。まず、Pardini et al. (2018)の手法に準じ、SO2カラム濃度の分布域を、気象データに基づく後方流跡線解析によって火口上空まで遡上させ、火口における SO2放出率の推移を復元する手法により、西之島の日々のSO2放出活動の全容を明らかにした。一方で、この手法は、衛星観測から得られるSO2の面的分布情報を放出率推定に利用する優れた手法であるが、SO2プリュームの一部が雲に覆われた状況では推定精度を保てない。この点を補うために、火口を起点とする前方流跡線解析を衛星観測と組み合わせてSO2放出率を推定する方法で2020年6月28日の西之島の放出率推定を試みた結果、後方流跡線解析による手法とほぼ同程度の値を算出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度は、おもに衛星データによる研究アプローチを積極的に進め、概ね想定通りの進捗であった。

今後の研究の推進方策

2024年度は、阿蘇山火口近傍において紫外線蛍光法による低濃度二酸化硫黄観測装置の連続観測を開始し、周辺の大気環境測定局の既存データ等とともに統合解析を進める。
また、衛星解析データを用いて、気象モデルを活用した後方流跡線解析手法による二酸化硫黄放出率の高度化を図る。また2023年度に実施した研究結果をとりまとめ、雑誌に投稿する。

次年度使用額が生じた理由

当初は現地観測を初年度(2023年度)から開始する予定であったが、衛星解析を重点的に実施することとなり、観測は2年目(2024年度)開始予定としたため、観測準備関連の次年度使用額が生じた。2年目の観測開始に伴う準備に使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] Sentinel-5p衛星TROPOMIセンサーと気象庁局地モデルによる二酸化硫黄放出率の監視と西之島の火山活動2023

    • 著者名/発表者名
      高木朗充, 新堀敏基
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2023年大会
  • [学会発表] 衛星観測と前方流跡線解析による二酸化硫黄放出率推定2023

    • 著者名/発表者名
      橋本明弘, 高木朗充, 新堀敏基
    • 学会等名
      日本火山学会2023年度秋季大会
  • [学会発表] 衛星から見積もられた火山周辺の二酸化硫黄分布(2018~2023年)2023

    • 著者名/発表者名
      高木朗充
    • 学会等名
      日本火山学会2023年度秋季大会

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公開日: 2024-12-25  

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