研究課題/領域番号 |
23K03516
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
吉原 直志 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究員 (60884393)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 表層崩壊 / 水質分析 / 地形変化 / GIS |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、国内数地域の山地流域群を対象として、表層崩壊をトリガーとする河川水質変化の発生メカニズムを解明することである。そのために、GISによる地形解析と土壌・岩石の元素比・同位体比をトレーサーとした端成分混合解析(EMMA)を同一地域に適用し、表層崩壊が流域内の水質形成プロセスにどのようなインパクトを与えるのか解析する。 今年度は、北海道の山地流域群を対象とする崩壊地判読の正確さを確認するとともに、この判読作業を完了させた。さらに同地域で現地調査を実施し、約60地点で地表水・湧水などの水試料を採取した。得られた水試料の化学分析にも着手した。この分析結果に基づいて、次年度以降に実施する予定である端成分混合解析に供する水試料の採取地点を選定した。 本研究が開始した当初、採取する水試料として、未崩壊流域および崩壊多発流域から流出する河川水のみを想定していた。しかし、崩壊地判読を含む地形解析と、河川水の水質分析を進めていく中で、崩壊堆積物の内部で進行する水質形成プロセスが表層崩壊をトリガーとする河川水質変化に寄与している可能性が浮上した。この可能性を検証するために、崩壊堆積物内部に貯留される水(地下水・湧水)を採取し、分析を進めていく。 今後の調査を通じて、表層崩壊の発生に伴い山地流域内でどのような地球化学的プロセスが活発化あるいは鈍化するのかについて新たな知見を得られ、表層崩壊が水環境に及ぼすインパクトが明らかになっていくと予想される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地形解析については概ね作業が完了した。さらに、地形解析の作業手順が確立され、今後、新たな調査地域を設定する必要性が生じた場合に、一連の地形解析を迅速に実施できる体制を構築した。1年目は地形解析に加え現地調査によるサンプリング地点の拡充を実施した。これにより、混合解析を実施するために必要なサンプルの採取候補地点を拡充できた。
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今後の研究の推進方策 |
北海道の調査対象地域で、混合解析を実施するための水サンプリングを主とする現地調査を継続する。現在、北海道をメインの調査地としているが、その他の地域についても現地調査を実施する予定である。当初は九州地域を北海道に次ぐ調査候補地としていたが、近年の斜面災害の発生状況を踏まえ、新たな調査候補地を設定する必要性についても検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
水試料のSr同位体比などの分析を外部機関に依頼する予定であったが、研究の進捗に伴いサンプリング地点を変更および拡充する必要性が生じた。そのため、外注分析を次年度以降に実施することが望ましいと判断した。
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