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2023 年度 実施状況報告書

海底堆積物を用いた古地磁気強度推定の精緻化ー磁性鉱物成分毎の磁化獲得能の評価

研究課題

研究課題/領域番号 23K03542
研究機関東京大学

研究代表者

山崎 俊嗣  東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (80344125)

研究分担者 山本 裕二  高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 教授 (00452699)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード古地磁気学 / 相対古地磁気強度 / 磁性鉱物 / 海底堆積物
研究実績の概要

本研究では、堆積物中の3つの主要な磁性鉱物成分である「走磁性バクテリア起源磁鉄鉱」「珪酸塩包有磁性鉱物」「包有されず裸で存在する陸源磁性鉱物」それぞれの、自然残留磁化および人工残留磁化の獲得効率の違いと、それの相対古地磁気強度(RPI)推定への影響を調べるため、さまざまな堆積環境にある海底堆積物コアについて岩石磁気分析を行うことを計画している。
今年度は、南東太平洋チリ沖で採取された堆積物コアMR0806-PC3について解析を進めた。この堆積物では、珪酸塩包有磁性鉱物の寄与は小さい。RPI計算のための、自然残留磁化(NRM) vs.等温残留磁化(IRM)の段階交流消磁プロット上で、高保磁力区間の方が低保磁力区間よりかなり傾き(見かけのRPI)が大きい。そして、岩石磁気分析により走磁性バクテリア起源磁鉄鉱がほぼ低保磁力区間を担い、陸源磁性鉱物が高保磁力区間を担うことが判明した。これは、走磁性バクテリア起源磁鉄鉱の方がRPI記録効率が低いことを意味し、これまでの我々のグループによる研究結果と整合的である。この堆積物では、保磁力分布において高保磁力成分と低保磁力成分で重なりがほとんどないため、走磁性バクテリア起源と陸源磁鉄鉱の記録するRPIをほぼ完全に分離でき、結果としてこれらのRPI記録効率の違いの影響を受けない、真の地磁気変動を反映したRPI記録を得ることができた。これらの成果を論文として取りまとめた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

消磁プロット上で、走磁性バクテリア起源磁鉄鉱と陸源磁性鉱物の保磁力分布が重ならない堆積物を用いれば、これらの相対古地磁気強度記録効率の違いの影響を受けない、高品質の相対古地磁気強度変動記録を得ることが可能であることを示すことができ、「古地磁気強度推定の精緻化」という本研究課題名にもなっている研究目標の一部を達成できたと考えられるため。

今後の研究の推進方策

2024年度は、北太平洋中央部で採取された海底堆積物コアを用いた研究を展開する予定である。この海域の堆積物は、陸源物質が主として風成塵として供給されるという特徴を持ち、2023年度に研究を行った風成塵の供給は小さいと考えられる南東太平洋堆積物とは対極的であるため、相対古地磁気強度記録効率の磁性鉱物成分毎の違いを評価するためには適していると考えられる。

次年度使用額が生じた理由

今年度の研究は、すでに得られていたデータの新たな解析を主として行ったことと、論文出版に関して、所属機関と出版社間で転換契約がなされたためオープンアクセスのための費用を必要としなかったことから、次年度使用額が生じた。2024年度は新たなデータ取得を予定していて、そのための旅費や物品費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Difference in Relative Paleointensity Recording Efficiency of Magnetic Mineral Constituents in a Sediment Core Off Chile2023

    • 著者名/発表者名
      Yamazaki Toshitsugu、Li Jiaxi、Shimono Takaya、Kanamatsu Toshiya
    • 雑誌名

      Journal of Geophysical Research: Solid Earth

      巻: 128 ページ: -

    • DOI

      10.1029/2023JB026816

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Difference of relative paleointensity recording efficiency in magnetic mineral constituents in a sediment core off Chile2023

    • 著者名/発表者名
      山崎俊嗣・李嘉熙・下野貴也・金松敏也
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2023年大会
  • [学会発表] Problems of relative paleointensity estimations from marine sediments and their relation with biogenic magnetite2023

    • 著者名/発表者名
      山崎俊嗣
    • 学会等名
      地球電磁気・地球惑星圏学会第154回総会・講演会
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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