研究課題/領域番号 |
23K03566
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
廣瀬 孝太郎 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (60596427)
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研究分担者 |
中村 英人 北海道大学, 理学研究院, 助教 (00785123)
安藤 卓人 秋田大学, 国際資源学研究科, 助教 (30852165)
梶田 展人 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (40931647)
辻本 彰 島根大学, 学術研究院教育学系, 講師 (60570554)
仲村 康秀 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 助教 (70830735)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 沿岸域 / 生態系 / パレオプロキシー / 微化石 / 後期完新世 / 人為的環境改変 / 堆積物 / 東京湾 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,過去の水圏システム(水質や生態系の各要素)の動態を具体的に復元し,水温指標やモニタリング・歴史記録と組み合わせることで,水圏生態系の駆動原理を明らかにすることである.2023年度は,採取済みの試料を対象として,分析のための基礎データの蓄積を行った.具体的には,富栄養化した都市沿岸域における珪藻群集解析,DNAメタバーコーディング等のを行い,環境とパレオプロキシーの関係を検討した.そのの成果に基づき,論文は,内湾堆積物の分析手法,とくにDNAメタバーコーディング,イメージング,化学組成に関して4編,研究分野の背景に関して(総説)1編を公表した.学会発表は,上記のような分析手法に関する研究,時系列変化に関する研究,およびそれに基づく普及・教育に関する研究,計16件を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究計画のうち,東京湾における表層コア採取を行わなかった.物価の高騰により旅費や調査の委託費が高騰し,予定の金額で実施できない見込みとなった為である.今年度の経費を一部加算し,実施する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
1. 試料採取・年代層序:東京湾において,表層コア試料採取を行う.潜水作業で1.5 mアクリルチューブを海底に押し込む方式でコア長1.2m程 度のコアを2本(ダイバーコア)を採取する.コアは 岩相層序や物性(含水率,粒度)によって対比し,集合コアとすることで,各分析に必要な試料量を得る.コアの基底部付近の植物片に対し, AMS放射性炭素年代測定を行うとともに,γ線スペクトロメトリーによる137Cs,210Pb濃度測定を行い,コアの年代軸を得る. 2. 分析:東京湾T2において掘削済みのピストンコアと,新たに掘削したダイバーコアに対して分析を行い,それぞれの環境要素に関して過去4500年間の連続的な変化を得る. 3. 解析:水圏生態系の時系列変化の復元を行う.珪藻化石群集,水生パリノモルフ群集,バイオマーカーから基礎生産者を,消費者である有 孔虫,貝形虫群集変化から消費者を明らかにする.さらに,バイオマーカーと環境DNAのデータを用いて,生産量の評価や堆積物に残らない分 類群を明らかにする.以上を統合し,過去の生態系の時系列変化を復元する. さらに,環境変化と水圏生態系の関係を検討する.アルケノン ,無機・有機元素組成から,水質や水温など非生物的な環境変化を明らかにする.これらと水圏生態系の変化について,時系列間の因果関係を 推定できるCCM解析(Convergent Cross Mapping)など統計的手法で相関を総合的に解釈する.気候変動については,短周期の寒冷化イベントなど汎世界的とされる変動イベント,1900年以降の人為 改変に関して特に詳細な検討を行う.さらに近過去については,歴史記録,過去50年程度の水質やプランクトンに関する既往のモニタリングデ ータを整理し,データに組み込む.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画のうち,潜水作業による試料採取を行わず,2024年度の実施としたため.
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