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2024 年度 実施状況報告書

直鎖低密度ポリエチレンの分岐種が衝撃破壊挙動に及ぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 23K03586
研究機関山形大学

研究代表者

角五 正弘  山形大学, 大学院理工学研究科, 客員教授 (70769968)

研究分担者 杉本 昌隆  山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 教授 (10361271)
SUKUMARAN S.K.  山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 准教授 (70598177)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードLLDPE / コモノマー / 強度 / 格子定数 / ひずみ硬化
研究実績の概要

今年度は低速と高速における格子定数の違いは何に起因するのか、変形途中のサンプルを含めて検討した。具体的には立ち上がり前であるひずみ300%時点での格子定数、さらにそのサンプルを高速破断させた時の格子定数を比較することで引張段階での側鎖の入り込みについてWAXD を使い検討を行った。WAXDピークについては、非晶部、(110)、(200)面のそれぞれのピーク分離を行った。引張前のサンプルでは、C4、C6とも格子定数aは同等であり、HDPEよりも大きな値を示した。引張前において、C4, C6 ともに側鎖が入り込んでいる可能性がいえる。ひずみ300%において無延伸より格子定数が増大している。これよりC4, C6 ともに延伸が進むと折り畳まれたラメラ状態の結晶が局所的スケールでは無秩序の状態を経てミクロフィブリルになる過程でひずみ誘起結晶化を生じるときに徐々に側鎖が入り込んでいるのではないかと考えられる。しかし、この低速引張後のサンプルを高速で破断まで引張ると格子定数a は1 段階目終了時の値より減少し、C4、C6とも無延伸と同等の値を示した。C4はラメラ内に側鎖が入り込むことで結晶そのものの強度が弱く、結晶構造が粉砕され、力を有効に担う物理架橋点がなく、フィブリル間のすべりが生じて破壊に繋がったと考えられる。これに対し、C6 においても1 段階目では格子定数a の増加が見られたが、この構造には側鎖が入り込んだ構造でありC4 と同様に弱い結晶構造のため、高速変形により崩壊したと考えられる。C6-LLDPE のもともとの結晶は側鎖が入り込まないため強度が高く、降伏後の大変形後、結晶からの分子鎖が引き抜かれ結晶が細分化しても一部の残存していたオリジナルの結晶が架橋点となりそれらをつなぐ非晶鎖が応力を担うことができるものと考えられる。

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

低速引張ではコモノマーがC4、C6のLLDPEともにひずみ硬化性を示すのに対し、C4は耐衝撃性が低く、C6は耐衝撃性が高いことが知られてきた。これまで、この違いについて、タイ分子の数やタイ分子の配向性から考察されてきたが、触媒や製造プロセスが異なることもあり、明確な考察が十分にできてこなかった。本研究では、同じ触媒、同じプロセスで重合したLLDPEサンプルを用いており、これらの系においても同様の違いがあることを見出している。メタロセン触媒を用いた組成分布が狭いサンプルについてもC4、C6では強度が異なることから、組成分布によるタイ分子の生成の違いやラメラ厚み分布による影響ではないといえる。本研究では、結晶そのものの強度に着目し、WAXDによる変形前後の結晶格子の広がりや、SAXS、USAXSによる変形前後の長周期やマイクロボイドのサイズ、生成量から変形過程の構造変化を考察しており、C4とC6というわずかな長さの違いが強度のひずみ速度依存性に与える影響を新たな視点から説明しようとしており、現在のところおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

C4、C6-LLDPEにおいて、変形速度を変えたサンプルの変形過程においてどのような構造変化があるかWAXD、SAXSから検討を行う。また、USAXSから低q側になんらかの構造が示唆されたC6高速変形サンプルについて、ウルトラミクロトームで超薄切片を作り、染色後にTEM観察することでどのような構造ができているか、C4と比較しながら検討を行う。また、これまでの検討結果からC4とC6-LLDPEの高速変形下での挙動の違いの要因についてまとめ、投稿論文を作成する予定である。

次年度使用額が生じた理由

SAXS、WAXDによるデータ解析に時間がかかり、ウルトラミクロトームによる切片作製とTEMによる測定に遅れが生じた。2025年度は、マイクロボイド測定のためのTEM観察を行う予定である。

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公開日: 2025-12-26  

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