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2023 年度 実施状況報告書

SDGsに資するヘテロな階層組織の高強度・延性を創発する力学的メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K03596
研究機関旭川工業高等専門学校

研究代表者

安田 洋平  旭川工業高等専門学校, 機械システム工学科, 准教授 (60725696)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードヘテロ階層組織 / パーライト / コロニー / 層状組織 / 力学特性 / 寸法効果 / 結晶塑性解析 / 転位
研究実績の概要

構造用金属材料の更なる力学特性向上に向けて,未解決問題である「ヘテロ階層組織を有する金属材料における高強度・延性を創発する力学的メカニズムの解明」に挑むために,本年度は,「層状のメゾ組織」,「コロニー・ブロックのマクロ組織」を含む階層組織モデルの結晶塑性解析を実施した.
解析には2つのコロニーからなるモデルを用いた.両コロニー内の層配向は引張方向に平行とし,セメンタイト/フェライト/セメンタイトの三層構造とした.結晶方位はフェライトとセメンタイトの晶癖面として報告されているBagaryatskyの配向関係を満たすものとし,片側のコロニーの結晶方位を変化させた時,力学特性に及ぼす影響の寸法効果を明らかにすることを目的とした.
結晶方位差のないモデルではフェライト層中でほぼ均一なひずみが生じた.一方,結晶方位差のあるモデルではコロニー界面近傍でひずみの集中や緩和が生じた.これは,例えば隣接コロニーのフェライト層で塑性変形が生じにくい結晶方位となると,基準となるコロニー側に塑性変形が集中し,結果として隣接するコロニー側のひずみが緩和するためであることが明らかとなった.また,この緩和の広がりには組織寸法依存性があることも明らかとなった.この時の転位分布を確認した所,転位の平均自由行程が層界面により規制されることで,界面近傍での転位の並び方に組織寸法依存性が生じ,結果として,ひずみ分布の特異性に影響したことが明らかとなった.
これらの成果により,コロニー・ブロック組織の界面近傍における変形に層状組織の結晶方位と寸法効果が及ぼす影響が明らかとなり,ヘテロ階層組織を有する金属材料における高強度・高延性の発現メカニズムの解明に向けた基礎的知見が獲得できた.また,今回の解析を通じ,今後のマルチスケール解析に必要な解析プログラムやモデリングの準備もすることが出来た.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り,「層状のメゾ組織」,「コロニー・ブロックのマクロ組織」を含む階層組織モデルにおける力学特性が得られ,パーライト鋼のヘテロ階層組織における力学特性解明に向けた基礎的知見を獲得できた.また,今後のマルチスケール解析に必要な解析プログラムとモデリングを準備できた.

今後の研究の推進方策

次年度は当初の研究計画通り,コロニー界面近傍での転位吸収および転位の増殖現象をモデル化して拡張した結晶塑性解析により,コロニー・ブロック界面を含むヘテロ階層組織モデルのマルチスケール解析を実行する.本年度得られた結果および実験結果との比較検証を行い,モデル化の妥当性について検証を行う.

次年度使用額が生じた理由

本年度は,研究代表者とシミュレーション補助学生のそれぞれで,計2回の学会参加を予定し,準備を進めてきた.しかしながら,補助学生の要望により,学生分の学会参加を取り辞めることとなった.これにより,1回分の学会参加費と旅費分の差異が生じた.
差額分の経費については,シミュレーション結果を整理し,必要なグラフ・図を円滑に作成する必要があることから,PCの購入を計画している.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] パーライトコロニー・ブロック界面近傍に生ずる弾塑性変形と転位蓄積の結晶塑性解析2024

    • 著者名/発表者名
      安田洋平, 佐藤昂太朗, 大橋鉄也, 下川智嗣, 新山友暁
    • 雑誌名

      材料とプロセス(CD-ROM)

      巻: 37 ページ: ROMBUNNO.206

  • [学会発表] パーライトコロニー・ブロック界面近傍に生ずる弾塑性変形と転位蓄積の結晶塑性解析2024

    • 著者名/発表者名
      安田洋平, 佐藤昂太朗, 大橋鉄也, 下川智嗣, 新山友暁
    • 学会等名
      日本鉄鋼協会第187回春季講演大会

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公開日: 2024-12-25  

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