研究課題/領域番号 |
23K03646
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
佐藤 善紀 佐賀大学, 理工学部, 助教 (20739362)
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研究分担者 |
森田 繁樹 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (00314089)
長谷川 裕之 佐賀大学, 理工学部, 教授 (60403482)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | トライボロジー / 電気化学 |
研究実績の概要 |
令和5年度は高温高圧インパクトフレッティング試験機の設計・製作を主に実施し,また従来型の試験機を用い,リーン二相ステンレス鋼をはじめとした3種の材料のインパクトフレッティング摩耗に及ぼす腐食の影響について調査した. 実験装置の開発について,令和5年度に完成予定であったものの,達成されていない.オートクレーブ部の設計に問題があり,大幅な設計変更を余儀なくされている.高圧用の昇圧ポンプや減圧バルブ,冷却装置,バンドヒーター等の選定は完了していおり,軸部の密閉方法について検討が必要な状況である. 進捗の遅れが懸念されたため,並行して実験可能な条件を従来型の試験機で実施することとした.本研究では腐食生成物がトライボ膜として作用する際のCrの影響を調査するにあたり,リーン二相ステンレス鋼であるSUS323L,SUS821L1を選択した.これらはNi,Moを低減しているにもかかわらず,高いPREN値から耐孔食性,耐腐食性に期待される材料であり,またSUS316L鋼を比較材料とした.動電位法と呼ばれる一般的な分極特性はそれぞれの材料で大きな違いは見られなかったものの,掃引速度が非常に速い電位急変法ではSUS316Lに対し耐食性に劣る傾向が示された.これは摩耗試験でも同様の傾向が見られ,常温の腐食溶液中ではCrによる作用は確認することができなかった.高温水中では傾向が変化する可能性があり,条件を変更して調査する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
試験装置の作製について予定より遅れが生じているが,現状で行える条件の摩耗試験を先行して実施することで,進捗の遅れをカバーしている.高温高圧用オートクレーブ作成のノウハウが不十分であったことが一因である.また摩耗試験の結果から下記が明らかとなった. Na2SO4溶液中のリーン二相系ステンレス鋼SUS323LおよびSUS821L1のインパクトフレッティング摩耗に及ぼす腐食の影響について,電気化学的手法を用いて調査を行い,一般的な分極特性は比較材SUS316Lに比べ大きな違いは見られなかったが,掃引速度50V/sではリーン二相系ステンレス鋼の方が低い腐食電位を示した.またSUS323L及びSUS821L1の摩耗は電位とともに増大し,-200および0mVSCEではSUS316Lと比較して大きな比摩耗量を示した.これは今年度行った実験条件ではCrが保護作用を引き起こす被膜生成に影響していないことを意味する.
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今後の研究の推進方策 |
試験機作成の遅れについて早急にカバーするため,高温高圧試験機作成のノウハウを持つ研究者(岩手大 内舘教授)との打ち合わせを行う予定である.高圧ポンプやバルブ等の選定はすでに行っており,打ち合わせから問題なければ直ちに発注,投入する. 引張試験における電気化学測定については研究分担者と打ち合わせをすでに複数回行っており,予定通り本年度実施する.また常圧下で行うことができる試験については次年度も並行して行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
実験装置の作成において,所属研究室が所有する材料や工具用いた.また装置作成は遅れが生じており,昇圧に必要な器具は当該年度は未発注のため,次年度使用額が比較的大きな金額となっている.装置作成についてノウハウのある研究者との打ち合わせ後,上記器具は早急に発注する予定である.
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