研究実績の概要 |
本年度は,1辺の長さ11cmの正方形アクリル製フレーム外に,摩擦係数の高いゴム製の永久磁石が接着され,フレーム内に4個の振動コンポーネント A, B, C, D が直交配置された位相制御型のアクチュエータを試作した.鋼鉄製の構造物内に,アクチュエータを挿入し,対面に配置されたコンポーネント A, B と C, D を 1 セットとして振動させ,両者の位相差を調整した.本アクチュエータは,鋼鉄構造物内の底面,壁面,天井面の各平面において,殆ど同じ速度での往復移動が確認された.また,本アクチュエータの推進特性の検討を行った.アクチュエータに,130g(1.3N)の負荷質量を搭載した場合,4.4 mm/sの速度で上昇移動可能であることが確かめられた.さらに,上述のフレーム構造のアクチュエータを柔軟なシリコンゴム材により2個連結されたアクチュエータシステムが試作された.本アクチュエータシステムに,260g(2.6N)の負荷質量を搭載した場合,4.3 mm/sの速度で上昇移動可能であることが確かめられた.アクチュエータを連結することで,走行速度を維持しながら牽引力を増加できる手法が確立された.また,推進特性を改善する目的で,上述の構造と異なるアクチュエータを試作した.さらに,振動コンポーネントを構成するばねの非線形性を考慮した振動解析を行い,実機試験により得られた結果と比較検討している.得られた成果は,査読付き国際会議プロシーディングス2編および論文1編としてまとめた.プロシーディングスは,2編とも Best Paper Awardを受賞した.ただし,1編のプロシーディングスは,学会の論文にアップされたため,2024年度に出版される予定となった.更に,採択された1編の論文も2024年5月に出版予定である.
|