研究課題/領域番号 |
23K03656
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
山本 義暢 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (40377809)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 高レイノルズ数 / 壁面乱流 / 大規模直接数値計算 / 乱流理論・モデリング / 乱流計測 |
研究実績の概要 |
高レイノルズ数壁面乱流場の乱流理論・モデリング検証を目的として、世界最高レイノルズ数チャンネル流の直接数値計算(Direct Numerical Simulation, DNS)コードの開発をおこなった。その結果、理化学研究所富岳を対象として、1/2規模(8万ノード)までスケールする世界最大・最速のDNSコード開発に成功した。 (1)開発コードをもちいて、摩擦レイノルズ数16000のDNSデータベースの構築を80%完了することができた。 (2)得られたDNSデータベースを用い、壁面乱流場における高レイノルズ数乱流理論の検証を行った。平均速度分布の対数則は、壁面高さが異なる2領域で分離して出現することが確認された。またAttached Eddy仮説の予測する垂直応力の対数的分布が確認されたが、その成立壁面高さが応力間によりことなることも判明した。乱流散逸率においては線形応答理論による予測がよく一致することが確認できた。 (3)本DNSデータベースを用いた理論検証ならびに実験手法・乱流モデリングの高精度化に取り組む予定である。乱流モデリングにおいては、LES(Large Eddy Simulation)を対象として、従来の検証レイノルズ数を大きく超える高レイノルズ数領域での精度検証と改良を試みる。 (4)またさらなる高レイノルズ数領域への挑戦を目指し、次世代スパコンへの対応を含めたコード改良・開発も着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究においてベースとなる大規模直接数値計算コードの開発に成功し、それを用いたDNSデータベースの構築を順調に行えている。 構築DNSデータベースを用いた理論・モデリング検証が進んでおり、新しい知見が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度中にDNSデータベースを完成させ、本データベースを用いた国際共同研究を含めた理論・モデリング・乱流計測に関する研究を促進する。 またより高いレイノルズ数領域を対象とすべく、DNSコードの高度化並びに次世代スパコンへの対応を含めた研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本課題では世界最大レイノルズ数規模のDNSコード開発とそのデータベース構築に関する支出が主体となるが、理化学研究所・富岳(公募研究により採択、無償)を用いたコード開発が順調であったため、大学共同利用施設のスーパーコンピュータの付加的利用を抑えることができた。 一方、次世代スパコンへの対応においては大幅なプログラム変更が必要となっており、次年度以降にこの開発費(役務及び計算機利用代)に使用することにより、さらなる高レイノルズ数規模のDNSデータベース構築への実現性を高める予定である。
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備考 |
開発DNSデータベースの公開サイト
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