研究課題/領域番号 |
23K03667
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
山本 剛宏 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (40252621)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 複雑流体 / 走性 / 粒子分散系 / 流動誘起構造 / 数値シミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究では,微生物などが持つ走性を有する粒子の分散系が流動中に示す流体内部構造を数値シミュレーションにより解析する.ここでは,種々の走性の中から走流性と走光性を取り上げ,これらの走性と個体間相互作用を有する粒子の分散系を考える.本年度は,走流性粒子分散系に対しては,魚や鳥の群れの群衆運動のモデルのひとつであるBoidモデルをベースにした粒子モデルと走流性および周囲の粒子の運動方向に依存する回転速度を有するエージェントベースモデルの2種類のモデルを作成し,一様流中の粒子の集団運動・配向挙動・構造形成の解析を行なった.そして,走流性の強さが粒子の配向度や群れの形成に影響するという結果を得た.また,エージェントベースモデルについては,粒子運動の速度勾配などへの依存性を追加したモデルの作成を計画している.走光性粒子分散系については,Stochastic Rotation Dynamics(SRD)に基づく微細藻類を想定したモデルを用いて,片側から光を照射した流路内流れにおける粒子濃度分布とその速度場への影響を解析し,粒子濃度分布や速度分布について,連続体モデルによる数値解析と定性的に一致する結果を得た.本モデルについては,エネルギー保存のためのサーモスタットについて課題があるため,引き続き,サーモスタットの適用方法について検討を行う.また,走流性・走光性いずれの粒子モデルについても,実際の微生物の系で見られるような行動様式と類似の挙動を表すことができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに,走性を有する能動粒子分散系の基本モデルとして,走流性粒子について,Boidモデルベースとエージェントベースモデルの2モデル,走光性粒子について,Stochastic Rotation Dynamics (SRD)ベースの1モデルを作成することができた.さらに,これらの粒子分散系の流動誘起構造を解析するための数値計算プログラムを作成し,一様流れ(走流性粒子分散系)と管内流れ(走光性粒子分散系)に適用することができた.したがって,今後,本研究を進めるための数理モデルと数値シミュレーション・プログラムの基盤を準備することができたと考えられる.各粒子モデルで検討するべき課題は残っているものの,本年度の研究の進捗状況は,ほぼ当初計画に沿って進んでいると考えられる.粒子モデルの細部については,まだ改良の余地があるため,引き続き,モデルの改良のための検討が必要である.これについては,現モデルを用いた流動誘起構造解析と並行して進めていく予定である.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に作成した走流性および走光性粒子モデルを基本モデルとし,粒子モデルの改良を行う.具体的には,走流性モデルの動作ルールの因子に速度勾配および渦度を取り入れ,より複雑な行動様式の表現を可能なモデルにする.そして,走流性粒子分散系については,これまでの粒子モデルを用いて,走流性粒子分散系のせん断流れや流路内流れなどの流れ場における流動誘起構造の解析を行い,新規の粒子モデルについては,その粒子分散系に対して一様流中の流動誘起構造と粒子挙動の解析を行い,従来モデルとの違いについて調べる.さらに,走光性粒子分散系に対しては,現在課題となっているサーモスタットの改善を進める.そして,走光性粒子分散系の流路内流れの数値シミュレーションを行い,走光性による非均一な粒子分布によって形成される流動誘起構造の解析と流れ場への影響を解析する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初参加を予定していた国際会議への参加を取りやめたため,その旅費を次年度以降に使用するように計画を変更したことにより,次年度使用が生じた.次年度使用額分は,別の国際会議または国内会議への出張旅費として使用する予定である.
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