研究課題/領域番号 |
23K03669
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
多田 茂 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 応用科学群, 教授 (70251650)
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研究分担者 |
松元 藤彦 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 応用科学群, 教授 (10531767)
江口 正徳 呉工業高等専門学校, 電気情報工学分野, 准教授 (60613594)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 細胞分離 / 誘電泳動 / 4重極キャピラリー |
研究実績の概要 |
細胞分離に最適な電場分布を得られる電極直径と、ガラスキャピラリー直径、肉厚の比を数値シミュレーションで求めた。得られた値を参考にして、実際に用いる真鍮丸棒の電極径とガラスキャピラリー直径、肉厚の組み合わせの候補を幾つか選び出し、実験を行った。実験はヒト乳腺上皮細胞の生細胞と死細胞を用い、ガラスキャピラリーに細胞サンプルを流し、電場に対する細胞の誘電泳動効果による応答を確認する実験を行った。4重極電極に負荷する交流電圧については、数値シミュレーションと理論解析によって得られた値を用いても期待した誘電泳動効果が得られなかった。この理由として考えられたのは、ガラスキャピラリー内に電場が上手く生成されていないことが考えられる。溶液導電率については、溶液導電率が1 mS/mのときに死細胞がガラスキャピラリーの中央部に集まり、生細胞 がキャピラリー外周部に集められることを確認した。交流周波数については2~30 kHz以下の値であれば、生・死細胞の分離が行われることを確認した。 次に電極直径と、ガラスキャピラリー直径、肉厚を決定後、生・死細胞をマンニトール等張溶液に懸濁させたサンプルをデバイスに流して分離実験を行ったが、 好成績は得られなかった。分離実験が上手くいかない理由としては、ガラスキャピラリー内の電場が弱いことと、ガラスキャピラリーが細すぎたことにあると考えられる。実験に使用していた高周波電源用増幅器の仕様の関係で細いガラスキャピラリーを用いていたが、キャピラリー内径が細すぎたため、細胞分離に時間がかかり、その間に細胞が死滅してしまっていたことも分離率を著しく下げた原因であると推定された。今後はガラスキャピラリーの代わりに薄いビニールシートやシリコンチューブを用いるなど、デバイスのキャピラリー内に効率よく電場を生成できる構造に変更し、引き続き細胞分離実験を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
デバイスの設計・製作を行い、細胞分離実験を行うことで提案デバイスの動作特性について理解を進めることが出来たが、細胞分離率については好成績が得られず、研究は試行錯誤しながら行っているため当初の予定より遅れている。しかしながら、これまで行ってきた実験の問題点がある程度明確になり、細胞分離の高効率化に必要な要因と実験条件の絞り込みが出来るようになり、問題の解決が見通せるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
分離効率をさらに高めるためには、キャピラリー内に電場を効率的に生成させることと、分離実験に要する時間を短縮し、細胞が死滅するリスクを避けることが重要である。そのためには効率的により強い電場を生成できるようにデバイスを改造し、さらにデバイスを大型化することで単位時間あたりの細胞処理能力を増大させる必要がある。今後の研究では4重極電極キャピラリーのキャピラリー素材をガラスからシリコンなどに変更すると共にやや大型化し、それに伴って負荷電圧の大きさも見直すことで、キャピラリー内の電場生成プロセスの効率化と大幅な改善を図りたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは、研究計画の見直しにより電源などの備品購入や成果発表のための旅費の使用を次年度に先送りしたためである。現在では、変更した実験条件を元に、備品類の仕様を決定出来たので、当初の計画通り、次年度においては予算執行を進めてゆく。
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