研究実績の概要 |
当該研究は、バイオ燃料から生成されるフルフラールとその誘導体であるフルフリルアルコール、フルフリルエーテル、レブリン酸アルキルの燃焼反応モデルの構築・検証を目的としている。2023年度には、衝撃波管及び急速圧縮機を用いてフルフラールの熱分解生成物分析と、着火遅れ時間のデータを得ることが出来た。得られたデータを解析するために、現在確認できている3つの反応モデル(モデル1:Jin et al., Combustion and Flame 226, 2021, 2008, 211-210, モデル2: The CRECK Modeling Group, C1-C16 HT+LT mechanism (Version 2003, March (2020)), モデル3: Tran et al., Combustion and Flame 181, 2017, 251-269)の検証を行った。モデル3は、フルフラール単分子分解の主反応経路が記述されていないため、シミュレーションの対象外とした。反応モデル1と2を用いたシミュレーションは、実験結果を十分に再現できておらず、共通して以下に示す2つの問題があることが明らかになった。1つめは、熱力学データの記述である。熱力学データは温度(T)の多項式関数として表現されるが、上述の2つのモデルでは特定の温度で関数の連続性が保たれていない。このため、シミュレーションに不具合を生じている。2つめは、高温でのフルフラールの分解が過小評価されていることである。このように、実験結果をベースに既存の反応モデルの問題点を明らかにすることが出来た。
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