研究課題/領域番号 |
23K03708
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
望月 高昭 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (70280360)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 熱移動 / 液滴 / 交番電場 / マイクロデバイス |
研究実績の概要 |
液滴内温度測定方法としてレーザー誘起蛍光法および液晶懸濁法について検討した.流路壁面の材料としてPTFEおよびPFAを選択し,シリコーン油で満たされたPTFEおよびPFA管内に生成した水滴を対象として「水滴内に溶解した蛍光染料の観察(レーザー誘起蛍光法)」および「水滴内に懸濁した感温液晶マクロカプセルが呈する色の観察(液晶懸濁法)」を実施した.その結果,PTFE管内においては,「蛍光観察」が可能な一方,PTFE管自体の色(半透明)のため「感温液晶マクロカプセルの色観察」は困難であることが判明した.液晶懸濁法を対象としてPFA管を用いた場合について検討した.その結果,「PTFE管よりPFA管の方が透明度が高いため,PFA管内における色観察は可能なこと」および「水滴がPFA管内面に付着してしまうこと」が観察された.以上より,レーザー誘起蛍光法を採用することとした.同方法について更なる調査を進め,レーザー光(励起光)の時間的・空間的強度変動の影響を受けにくい二色レーザー誘起蛍光法を採用することとした. 「水滴から放出され,測定器にて計測されるであろう蛍光量」と「水滴内温度」の関係について理論的検討を行った.その結果,Kubin&Fletche(J. Lumin. 27(4) 455-462 Dec.1982/Feb.1983)により示されるように温度と蛍光分子の量子収率の関係が負の傾きを持つ直線で表現される場合,計測される蛍光量が水滴内混合平均温度に比例することを求めた. 過去に製作・使用した実験装置を用い,蛍光染料が溶解液した水溶液の液滴および水滴(蒸留水)に交番電場を付与すると共に,誘起される周期的変形運動を観察した.検討の結果,両者の運動に大きな差異は認められなかった. 以上の検討の後,実験装置本体の設計・製作,測定用光学系の設計・製作(後者の製作は未完成)を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
以下の理由により,やや遅れている. (1)液晶懸濁法の適用を前提とし,流路として「シリコーン油を内面に焼き付けたガラス管」を使用することを検討した.ただし,「管内面に焼き付けるシリコーン油膜の厚みを均一化する方法」および「同処理を委託可能な業者」を探したが見つからず,同処理は困難であると判断した(このため未実施となっている). (2)水滴および蛍光染料溶解液滴が呈する周期変形運動を比較する際,過去に他研究課題にて使用した実験装置を転用した.この際,当該実験装置からのシリコーン油(周囲流体)の漏れが問題となり,その解決に時間を要した. (3)本研究開始時は,一種類の蛍光染料のみを用いるレーザー誘起蛍光法を想定していた.しかしながら,検討の過程で,励起光であるレーザー光の時間的・空間的強度変動の影響を受けにくい二色レーザー誘起蛍光法(二種類の蛍光染料を使用)を採用することとした.二色レーザー誘起蛍光法の実施にあたり,レーザー光源,光学フィルター,計測装置の選定に時間を要した.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は以下の順にて実施する. (1)二色レーザー誘起蛍光法の検討を進め,蛍光染料が溶解した水滴から放出される蛍光量と該水滴内の混合平均温度の関係を実験的に求める. (2)交番電場付与下の流路内にて液滴-周囲流体間の熱移動特性を実験的に求める. (3)交番電場付与下の流路内にて液滴列-周囲流体間の熱移動特性を実験的に求める. 現在までの進捗状況が遅れ気味のため,上記(2),(3)は実験条件を絞り実施する. 現時点では2025年度の検討には変更が無い予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
「現在までの進捗状況」に記載したように,二色レーザー誘起蛍光法の実施にあたり,レーザー光源,光学フィルター,計測装置の選定に時間を要した.当該年度では,蛍光測定用光学系の部品(設計は終了),光学フィルターの購入が済んでおらず,主にこれらの購入費が残った形となっている.次年度使用の直接経費は,蛍光測定用光学系の部品,光学フィルター,試料液体(シリコーン油および蛍光染料)の購入に使用予定である.
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