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2023 年度 実施状況報告書

マルチワイヤ駆動によるSMAアクチュエータを用いた新原理音声デバイスの高機能化

研究課題

研究課題/領域番号 23K03740
研究機関北海道大学

研究代表者

原田 宏幸  北海道大学, 工学研究院, 准教授 (90301936)

研究分担者 伊藤 壮生  地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 産業技術環境研究本部 工業試験場, 研究職員 (60845668)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード形状記憶合金 / SMA / アクチュエータ / 音声 / 音響計測
研究実績の概要

形状記憶合金(SMA)アクチュエータを電力フィードバック制御によって駆動し,SMAに接続された振動膜が発生する音を観測するための実験環境の構築を行った.2023年度は特に測定環境の整備に重点を置いた.導入を予定していた音響解析システムについては,既存システムのアップグレードを実施し,新たに,現有のものよりも測定帯域の広い測定用マイクロフォンを導入した.また,音響解析システムをPC上のプログラムから制御できるよう環境を整えた.これにより,今後の実験における測定の自動化および効率化が期待できる.
種類の異なる複数のSMAアクチュエータによって駆動する音の生成機構について検討を行い,装置を試作して検証を行った.具体的には,矩形の紙製振動膜を弓,複数のSMAワイヤを弦のように用い,並列に配置された複数のSMAによって振動膜を湾曲させた構造とした.SMAの収縮力と振動膜の復元力によりSMAが伸縮し,振動膜から音が発生する.検証の結果,作動させるSMAを切り替えることによって,入力周波数に対する発生音の特性が変化することが示された.また,入力信号の周波数に応じて駆動するSMAを切り替える分業方式によって,広い周波数帯域に渡って,音量を向上させ得る可能性が示唆された.ただし,実験装置の加工精度やSMAの取付け精度,経時劣化による影響が大きいと考えられるため,装置構造および実験結果については更なる検討・検証が必要である.並行して,入力周波数に応じて入力波形を変化させることによる音量,音質の向上の可能性について検討したところ,強化学習を用いて最適な入力波形を生成可能であることが示された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

おおむね当初計画に従って実験環境の整備を行うことができた.また,音の生成機構についての検討を行うことができた.学習的手法については,具体的な適用方針の決定には至っていないが,今後の方針について,研究代表者,研究分担者,研究協力者の間で議論を重ねることができている.

今後の研究の推進方策

音の生成機構について,本年度に検討した,一つの振動膜に複数のSMAアクチュエータを並列に接続する方式は,アクチュエータによる運動が相互に干渉することによる影響を考慮する必要があり,このことが検証を難しくする要素になりうることが判明した.従って,SMAアクチュエータを直列に配置する方法や,複数の振動膜を独立に駆動する方式についても検討し,最も適切な実験機構の構築を目指す.また,学習的なSMAアクチュエータの駆動手法について慎重に検討を進める.本年度の実験結果では,入力周波数ごとにSMAアクチュエータを分業させることで当初の目的を満たす可能性もあることが示唆された. 本結果も考慮して最適な駆動方法の確立を目指す.

次年度使用額が生じた理由

当初,新規購入を計画していた音響計測システムについて,既存のシステムのアップグレードで対応可能であると判断したことが次年度使用が生じた大きな理由である.また,それに付随して,2023年度に購入予定であったPCなどについても,購入を次年度以降に変更した.次年度使用額は2024年度の計画に取り込み,主に新しい形式のデバイスの設計・製作,およびそれに対応した実験環境の改善・改良に充当する予定である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 拮抗配置したSMAアクチュエータによる音生成2023

    • 著者名/発表者名
      和久井隆光,原田宏幸,田島悠介,野澤勇人
    • 学会等名
      第41回日本ロボット学会学術講演会(RSJ2023)
  • [学会発表] SMAアクチュエータによる音生成における強化学習を用いた入力波形の最適化2023

    • 著者名/発表者名
      野澤勇人,原田宏幸,田島悠介,伊藤壮生,和久井隆光
    • 学会等名
      第24回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会(SI2023)

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公開日: 2024-12-25  

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