研究課題/領域番号 |
23K03783
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研究機関 | 東京工業高等専門学校 |
研究代表者 |
原口 大輔 東京工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (40767729)
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研究分担者 |
川嶋 健嗣 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (40300553)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | バイラテラル制御 / 遠隔操縦 / 空気圧駆動 / 力覚提示 / 手術支援ロボット |
研究実績の概要 |
本年度は、電動マスタ-空気圧駆動フォロワからなる1自由度バイラテラル制御の基礎システムを用いて、提案手法の有効性を検証・評価した。まず、空気圧シリンダの非線形摩擦を含むシステムの理論モデルを構築し、数値シミュレーションによる制御挙動の解析を行った。提案する3ch型バイラテラル制御は、従来の力逆送型制御に比べて高い制御剛性と安定性に寄与することが確認できたが、力順送型制御と比べた場合には、フォロワの位置制御機能の付加による操作性向上の効果は限定的なものであった。位置偏差が生じにくい状況では、動力学の補償効果を得にくいことが分かった。 次に、電動シャフトモータからなるマスタと、空気圧シリンダからなるフォロワの実験システムを構築し、上記制御則によるバイラテラル操作を実地に確認した。その過程で、フォロワ駆動力へのフィードフォワード補償がシステム全体の操作性向上に大きく貢献することが明らかになった。そこで、システムの運動状態に応じた非線形な駆動力の補償法を考案するに至り、バイラテラル制御の透明性を高める効果を実地に確認した。本手法においては、フォロワ動力学の補償にマスタの力入力の情報を用いるため、機構の静止摩擦力の補償にも効果があるほか、フォロワが環境に接触し運動が拘束された状況下でも力の一致性が大きく損なわれずに済む。次年度においては、本手法を空気圧駆動の手術支援ロボットシステムに適用し操作性を評価するとともに、さらに多自由度アーム機構に適した制御法へと改良・拡張を行う計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初有効であると仮説を立てていたフォロワ側の位置制御器が、バイラテラルシステムの操作性向上に顕著な影響を及ぼし得ないことが明らかになった。一方フィードフォワードの動力学補償が有効であることが分かり、この結果をもとにモデルベースの非線形な補償則の考案に至った。そのため、本来の研究目的を変更することなく、計画通りに進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度にて考案した非線形動力学補償を有するバイラテラル制御則を、当グループの保有する空気圧駆動の手術支援ロボットに適用し、制御性・操作性を検証する。システムの実装にあたっては、多自由度機構ならではの動力学の異方性や非線形要素がさらに強く表れることが予想され、これを克服するための制御則の改良および拡張を行っていく。非線形動力学モデルの構築にあたっては、機械学習を用いることも検討する。
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