電磁リレーやコンタンタ等の電気接点対を搭載したデバイスで通電中の回路を遮断する際にはアーク放電が発生する。回路の電源電圧が高い場合には接点間隙よりも外側にアーク放電を引き伸ばして消す必要がある。アーク放電は数千℃以上の高温であるため電気接点対そのものだけではなくその支持片やケース内壁等の周辺物にも損傷を与える。そのためアーク放電が引き伸ばされて消えるまでの期間にできる限りアーク長さを短くすることはそれらの損傷を低減するために有効である。本研究では、独自の接点対構造と、複数の永久磁石の組み合わせによるアーク放電の誘導により自発的にアーク放電を消す手法を提案し、短いアーク長さでアーク放電を消すことを目的としている。 本研究ではアーク放電の誘導のために複数の永久磁石で構成される磁束密度分布を利用することを想定している。アーク放電発生実験の実施前に、この磁束密度分布を測定する必要がある。しかし既設の磁束密度分布測定装置では本研究で必要とする複数の永久磁石間での測定ができなかった。その原因は測定装置のプローブ部分が3つのセンサーで構成されいるために、その部分の大きさが数cm四方以上の大きさであることにあった。そこで1センサーで3軸の磁束密度分布の測定が可能なプローブを導入し、プローブ部分が小さな測定装置を完成させた。これにより20mm程度の間隔で保持される複数の永久磁石間での磁束密度分布の測定が可能となった。また新たな接点対構造を用いてアーク放電発生の予備的な実験も実施した。
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