研究課題/領域番号 |
23K03845
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
梅比良 正弘 南山大学, 理工学部, 教授 (00436239)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 通信・レーダ融合 / DFTs-OFDM / PMCWレーダ / 相関検出 / Zadoff-Chu系列 |
研究実績の概要 |
提案するDFTs-OFDM-PMCWレーダの信号構成法、信号処理法、設計パラメータとレーダ性能の関係を評価し設計法を確率するため、以下の3課題を設定して研究を進めてきた。 課題① のDFTs-OFDM-PMCWレーダ信号処理技術では、理想的な自己相関特性を持つZadoff-Chu系列を用いたPMCWレーダにおいて、フィルタ系が相関検出特性に与える影響を評価し、送信符号系列が2以上必要で、その前後にCPを付加する必要があること、CP長はFIRフィルタのタップ長以上が必要があることを明らかにした。また、ロールオフフィルタの場合はα=1で相関検出でのレンジサイドローブを最小にできることを示し、送信信号フォーマット(符号系列長、符号周期)と距離・速度測定性能(最大検知距離、距離分解能、最大検知速度、速度分解能)との基本的な関係を明らかにした。また、移動によるドップラが相関検出特性に影響を与え、レンジサイドローブが増加することを明らかにした。 課題② の装置設計法では、α=1のロールオフフィルタを用いた場合の送受信装置の直交変復調器における位相・振幅誤差、移動速度が相関検出特性に与える影響を評価し、ハードウェア実装誤差によりレンジサイドローブが大きくなること、レンジサイドローブと直交変復調器の所要位相・振幅誤差の関係を明らかにした。 課題③ DFTs-OFDM-PMCWレーダにおけるリソース割当制御技術では、リソース割当制御方法とハードウェア構成の関係を検討し、レーダ信号と通信信号にリソース割当を時分割割当に制限すれば、フィルタバンクが不要なことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題①については、Zadoff-Chu系列を用いたPMCWレーダのシミュレーション系を、Matlabを用いて構築し、フィルタ系が相関検出特性に与える影響を評価し、この結果に基づきZadoff-Chu系列を用いたPMCWレーダに基づくレーダ・通信融合システム、CP付加PMCWレーダの提案を行うと共に、フィルタ系がPMCWレーダの検出特性に与える影響について、国内大会で2件の口頭発表、国際会議において1件の発表を行った。これより課題①は順調に進捗している。 課題②についても、同様にMatlabを用いたシミュレーション系を構築し、α=1のロールオフフィルタを用いた場合の直交変復調器における位相・振幅誤差、移動速度が相関検出特性に与える影響を評価し、信学会の研究会において1件の口頭発表を行った。これより課題②についても、概ね順調に進捗していると考えている。 課題③については、机上検討により、レーダの測定性能に応じたDFTs-OFDMのサブキャリア間隔等のパラメータが、通信性能に応じて必要なOFDMのパラメータと異なるため、リソース割当制御方法がハードウェア構成に影響を与えることを明らかにした。これについては、次年度の信学会の研究会において口頭発表を予定している。 以上を総合して、課題①②③共に順調に進捗していると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
課題①②③共に順調に進捗してきており、今後は、シミュレーション系をさらに拡張して、より様々なシナリオでの特性評価を進めていく予定である。 課題①では、ターゲットが移動に伴う相関検出特性の劣化は重要であり、これを低減する手法についても検討を進めていきたい。また、現在、DFTs-OFDM-PMCWレーダでは、レンジサイドローブが大きくなることが予見されており、これを改善するための手法についても検討していく。 課題②については、位相・振幅誤差、移動速度が相関検出特性の劣化、レンジサイドローブに影響を及ぼすことが明らかになってきており、さらに詳細を検討、評価とすると共に、位相・振幅誤差の低減手法等の検討も進めていく。 課題③は、レーダと通信のサブキャリア間隔の違いやリソース割当が、レーダと通信のチャネル間干渉に与える影響を、シミュレーションにより評価していく。 これらの結果は国際会議や国内大会での口頭発表だけでなく、論文誌にも積極的に投稿していく。また、特許などの権利化にも取り組んでいく。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたワークステーションの購入は、他の研究費で購入したワークステーションでの研究遂行が可能となったため、購入を見送ったことにより、次年度使用額が生じた。 この経費は、次年度の国際会議、国内学会での出張や論文投稿経費に使用する予定である。
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