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2023 年度 実施状況報告書

情報伝達における遅延最小化問題の情報理論的解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K03851
研究機関信州大学

研究代表者

西新 幹彦  信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (90333492)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワード情報理論 / 符号化遅延 / 忠実度規範付き符号化 / コスト付き符号化
研究実績の概要

通信の遅延は情報の歪みとみなすことができる。この着想に基づき、一般情報源に対するレート歪み問題を考察した。我々は、この問題に対して確率的歪みの概念を導入し、固定長符号化を行った場合のレート歪み関数を明らかにした。確率的歪みは、情報源の観測値に雑音が含まれる場合のレート歪み問題を解く上で導出される概念である。一方、情報スペクトルを保存する可変長符号化という考え方も提案し、レート歪み問題に適用した。この考え方では,期待値や裾確率ではなく確率分布そのものによって符号語長を評価する。これらを踏まえ、確率的歪みに対して最大歪み制約を適用し、かつ分布を制約する可変長符号化を適用したもとでレート歪み問題を解いた。具体的には,良い符号が存在するための必要十分条件と歪みレート関数を明らかにした。
他方、通信の遅延は情報伝達のコストとみなすことができる。この着想に基づき、一般通信路に対するコスト付き符号化問題を考えた。基本的な問題設定では、符号器がもつすべての符号語がコスト制約を満たすことが要請される。拡張された問題設定では、送信される符号語のコストが制約を満たす確率を問題にする。これに関して、我々はコスト分布の裾確率を制約した場合の通信路容量を求めた。さらに、評価をコストの確率分布のものによるものに拡張し、一般通信路に対するコスト付き符号化問題を考えた。その結果、制約を満たす良い符号が存在するための必要十分条件と通信路容量を導出することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画に関連した問題について、新たな数学的定理を導出することができた。

今後の研究の推進方策

忠実度規範付き符号化問題とコスト付き符号化問題について、情報スペクトル保存の観点からさらに汎用性のある数学的定理を証明する。

次年度使用額が生じた理由

当初計画で見込んだよりも安価に研究が遂行できていること、具体的には高価な高性能乱数生成器や解析用ソフトウェアを購入することなく実験およびデータの解析ができていることが挙げられる。研究成果の位置づけを正確にまとめるためにも最新の研究状況を把握するために研究会等への参加も予定している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Proof of Achievability Part of Rate-Distortion Theorem without Random Coding2024

    • 著者名/発表者名
      Mikihiko NISHIARA, Yuki ITO
    • 雑誌名

      IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences

      巻: E107-A, No.3 ページ: 404-408

    • DOI

      10.1587/transfun.2023TAP0009

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Channel Capacity with Cost Constraint Allowing Cost Overrun2024

    • 著者名/発表者名
      Masaki HORI, Mikihiko NISHIARA
    • 雑誌名

      IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences

      巻: E107-A, No.3 ページ: 458-463

    • DOI

      10.1587/transfun.2023TAP0010

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] コスト分布制約付き通信路符号化定理について2023

    • 著者名/発表者名
      西新幹彦
    • 学会等名
      第46回情報理論とその応用シンポジウム
  • [学会発表] 超過を許容したコスト制約付き通信路符号化定理のランダム符号化を用いた証明2023

    • 著者名/発表者名
      髙丸修一, 西新幹彦
    • 学会等名
      第46回情報理論とその応用シンポジウム
  • [学会発表] 確率的歪みを用いたレート歪み問題に対する情報スペクトルを保存する可変長符号化について2023

    • 著者名/発表者名
      金子歩夢, 西新幹彦
    • 学会等名
      第46回情報理論とその応用シンポジウム

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公開日: 2024-12-25  

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