研究課題/領域番号 |
23K03856
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
福迫 武 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (90295121)
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研究分担者 |
久世 竜司 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (40808929)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | メタ表面 / リフレクトアレー / 到来方向推定 / B5G |
研究実績の概要 |
本研究では,メタ表面技術の追求のために,5G/B5G電波を不感地帯に送るためのリフレクトアレー(反射板)とそれに将来組み込む可能性を考えた到来方向推定方法(Direction of Arrival:DoA)について検討している.本年度は,反射板の機能としては,従来の電源を用いたスイッチングダイオード等を用いずに,反射角を機械式に制御するが,半固定とする方法として,メタ表面基板に誘電体をスライドさせる手法について検討した.その結果,誘電体の層が伝送路の役割を果たし,メタ表面を構成する単位セル間の結合を促進することが分かった,その対策として,メタ表面を構成する単位セルごとに,表面に垂直な金属壁を設けることで,反射角は所望の方向に得られやすいという知見を得た.また,到来方向推定(DoA)方法として,受動的なメタ表面反射器と単一ダイポールアンテナを用いた到来方向(DoA)推定システムについて検討した.提案手法は,放射パターンを機械的に変化させ,複数の周波数応答を使用することによりDoA推定を実現する。DoA推定の数値解析の結果,提案方式はSN比20dBにおいて二乗平均平方根誤差(RMSE)を達成し、これはスイッチングダイオードを考慮したプログラマブルなメタ表面リフレクタを用いたシステムに匹敵する.さらに推定角度範囲を±60°と±90°に設定してもRMSEの悪化は小さく,提案手法がより広い角度範囲で到来方向を推定できることを示している.このことは、提案手法が7素子アレイに比べてより広い角度範囲で到来方向を推定できることを示している.また、実験においても正しい推定結果が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りの進捗である.まず反射板の話では,電磁界シミュレーションを基に,構造を工夫することで,誘電体操作で所望の反射角が得られた点は,新しい知見が得られたと言える.また,一部試作を行った.DOA推定に関しても,主に電磁界シミュレーションを基に検討し,従来にない手法を提案できたという点で,新規性のある方法を世に出せると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
誘電体操作による反射角操作についてもある程度の知見は得られたと考えており,到来方向推定についても予定通りである.しかし,前者は一次元的なアレーでの検討であり,二次元的に拡張するのは,今後検討して行く.また,後者はメタ表面とアンテナ素子一つという従来にない手法の提案であるが,圧縮センシングで検討する放射パターンの数確保のため,メタ表面の物理的回転を手段している.これは,ダイオードとそのための回路を省くという点で大きなメリットであるが,物理的な回転以外の方法も今後検討して行きたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究に沿った使用目的が見つからなかった
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