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2023 年度 実施状況報告書

複数測位衛星システムから放送される災害情報の移動受信方法

研究課題

研究課題/領域番号 23K03858
研究機関広島市立大学

研究代表者

高橋 賢  広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (60359106)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードGNSS / 準天頂衛星みちびき / Galileo / 災害・危機管理通報
研究実績の概要

準天頂測位衛星「みちびき」は、測位信号だけでなく、災害・危機管理通報(DCR: disaster and crisis management report)メッセージも放送している。測位衛星による災害情報伝送は、みちびきが世界を先導し、欧州Galileo衛星にて計画中のEWS(early warning system)メッセージとの共通化が進められている。一方、移動受信機は、消費電力の低減が求められる.本研究の目的は、みちびきとGalileoの災害情報メッセージを低消費電力にて移動受信できる方法の結論を得ることである.このために、当初、1. L1S信号単独受信、2. メッセージ予測に基づく投機的間欠受信、および3. みちびきDCRメッセージとGalileo EWSメッセージの同時受信、のテーマそれぞれを1年間にて実施することを計画した。
当該年度は、当初計画を変更し、3.のDCRメッセージとEWSメッセージの同時受信テーマを実施した。DCRメッセージの解析を進めた一方、今後Galileoにて放送される可能性のあるI/NAV航法メッセージの移動受信実験を実施した。市販受信機とソフトウェア無線受信機の両方を用い、Galileo I/NAVを受信し、その特性を解析した。この結果は、一つの測位衛星受信機、あるいはスマートフォン内の測位チップにて、日欧共通に災害情報を受信できるようになることが期待できる。
Galileoにおいては、EWSメッセージをC/NAV航法メッセージに重畳して放送する可能性もある。そのため、現在、C/NAVにて放送している高精度測位メッセージHAS(high accuracy service)のメッセージ解析も実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、当初、1. L1S信号単独受信、2. メッセージ予測に基づく投機的間欠受信、および3. みちびきDCRメッセージとGalileo EWSメッセージの同時受信、のテーマそれぞれを1年間にて実施する計画であった。
当該年度中に、この共通メッセージがCMAF(common alert message format)として、日欧両政府から発表された。また、みちびきから、従来のDCRに加えて、この共通フォーマットによるDCX(satellite report for disaster and crisis management report - extended information)の試験放送が開始された。
そのため、研究計画を変更し、項目3.を優先して実施した。具体的には、Galileoにおいて災害メッセージが放送される可能性の高いC/NAVとI/NAVのメッセージ受信の研究を実施した。この研究成果を電子情報通信学会スマート無線研究会、コミュニケーションシステム研究会、および宇宙航行エレクトロニクス研究会にて発表した。
また、項目1.のたたみ込み符号化されたL1S信号の効率的復号方法の検討も並行して実施し、その結果を電子情報通信学会スマート無線研究会にて発表した。
これらのことから、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

みちびきにてDCXフォーマットによる災害情報の提供が始まったことから、研究項目をより具体化する。みちびきにおいては、DCRとDCXとの同時受信を行えるようにする一方、Galileo EWSの開始に向けてI/NAVとC/NAVの効率的移動受信方法の研究を行う。
研究を通して作成したソフトウェアやハードウェア作成データをGitHub等のオープンコミュニティに提供することにより、研究成果を広く社会に還元する予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究方針変更のために、申請した研究成果発表のための旅費の一部が使用できなかった。また、実験に用いる半導体の一部が入手できずに、申請した物品費の一部が使用できなかった。
円安により外国製半導体価格が高騰したものの、入手可能になったことから今年度に購入する計画である。また、昨年度に実施した研究成果の公表のために、今年度に利用する計画である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 2件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Comparison of Satellite Positioning Augmentation Messages Broadcast from Michibiki and Galileo2023

    • 著者名/発表者名
      Takahashi Satoshi
    • 雑誌名

      IEICE Communications Express

      巻: 12 ページ: 595~598

    • DOI

      10.23919/comex.2023COL0007

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 準天頂衛星みちびきが放送する災害・危機管理通報2024

    • 著者名/発表者名
      高橋 賢
    • 学会等名
      電子情報通信学会総合大会, BCI-3-01
    • 招待講演
  • [学会発表] Galileo improved I/NAV航法メッセージの移動受信実験2024

    • 著者名/発表者名
      高橋 賢
    • 学会等名
      電子情報通信学会技術研究報告, SANE2023-91
  • [学会発表] みちびきが放送するMADOCA-PPPとGalileoが放送するHASの衛星軌道補強情報の比較2023

    • 著者名/発表者名
      高橋 賢
    • 学会等名
      電子情報通信学会ソサイエティ大会, B-2-9
  • [学会発表] 準天頂衛星みちびきが放送する電波の受信2023

    • 著者名/発表者名
      高橋 賢
    • 学会等名
      電子情報通信学会技術研究報告, RCS2023-110 (SAT2023-39)
    • 招待講演
  • [学会発表] Pocket SDRによるMADOCA-PPPとHASの同時受信2023

    • 著者名/発表者名
      高橋 賢
    • 学会等名
      測位航法学会全国大会
  • [学会発表] ドローン静止画像におけるYOLO画像識別度向上のための輝度増加2023

    • 著者名/発表者名
      奈良元 開, 高橋 賢
    • 学会等名
      電子情報通信学会技術研究報告, SR2023-14
  • [学会発表] 準天頂衛星みちびきから放送されるたたみ込み符号化L1S信号からの優先DCRメッセージの抽出2023

    • 著者名/発表者名
      高橋 賢
    • 学会等名
      電子情報通信学会技術研究報告, SR2023-15
  • [学会発表] みちびきとGalileoから放送される高精度衛星測位信号の受信2023

    • 著者名/発表者名
      高橋 賢
    • 学会等名
      電子情報通信学会技術研究報告, RCS2023-13
  • [備考] 高橋 賢

    • URL

      https://s-taka.org/

  • [備考] QZS L6 Tool: quasi-zenith satellite L6-band tool

    • URL

      https://github.com/yoronneko/qzsl6tool

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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