研究実績の概要 |
人工関節置換術は患部を除去するため疼痛の除去効果が著しい。その点が高く評価され人工関節置換術は国内で年間8万件と積極的に実施され、今後10年で2倍の増加が予測されている(保科ら,2018)。実施件数の増加の一方で人工関節置換術中の不具合に関する報告がなされている(Moroni et al., 2000)。申請者はこれまで人工関節置換術中の不具合を回避するシステム開発に取り組んできた(Sakai et al., 2020, 2021)。 当該研究ではシステムの精度を向上するためディープラーニングを用いたAI予測を導入する。当該研究が果たす意義は、安心・安全な医療技術を提供すること、その有益性をもって社会に還元することにある。この考え方の根拠は次の2点である。AIによる不具合予測が導入された場合、不具合が生じた症例と比べ入院期間は短縮され、患者の生活の質を短期に改善できる点において患者に対する臨床上の効果が著しい。入院日数を短縮できることから医療費を削減できる可能性がある。 当該年度はシーズとしての可能性を検証し、顕在化させる初期のフェーズと位置付けた。人股関節置換術における手術中の不具合が予測可能であるか検討した。ディープラーニングは人間の認識精度を超える極めて高い精度を誇る総合的なAIのアーキテクチャである。多層構造のニューラルネットワークに患者情報を入力することで、手術中の不具合と予後について予測を行った。
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