研究課題/領域番号 |
23K03894
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
岩谷 靖 近畿大学, 工学部, 教授 (10400300)
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研究分担者 |
衣笠 哲也 岡山理科大学, 工学部, 教授 (20321474)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 歩行 / フィードフォワード制御 / ロボット |
研究実績の概要 |
本年度は,膝や胴体を有しないコンパス型二足歩行ロボットを調査の対象とした.コンパス型二足歩行ロボットの機構は歩行ロボットの中で最も単純であり,研究の第一段階に適しているからである.具体的に本年度は,コンパス型二足歩行ロボットの試作を行うとともに,ロボットのモデリングと,周期歩行解の導出に関する研究を行った. モデリングに関する研究実績は以下の通りである.従来の研究では,実際の状況とは異なる簡易的な数理モデルを用いて,理論構築と数値シミュレーションが行われていた.本研究では試作機の形状に適合する数理モデルを構築した.特に従来の数理モデルでは,脚の接地は完全非弾性衝突であることが仮定されていた.一方,本研究において試作したロボットの歩行を高速カメラで解析したところ,接地は完全非弾性衝突ではなく,跳ね返りを伴う非弾性衝突が極短時間に数度繰り返された後に接地状態に至ることが分かった.本研究では,非弾性衝突の歩行モデルを構築するとともに,試作機を用いた実験により,その妥当性を確認した. 周期歩行解の導出に関する研究実績は以下の通りである.本研究では,周期歩行の数値解を,その導出問題を境界値問題として定式化することで導出する方法を確立した.提案方法は,従来の周期歩行導出方法よりも簡便であり,既存の境界値問題ソルバを用いて短時間に導出することができる.また提案方法は,従来の周期歩行導出方法よりも強力であり,これまで知られていなかった歩容を導出できた.提案方法は,フィードフォワード歩行を含めた多様な歩行の解析に利用できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論および試作機の構築とも,おおむね計画の通り進展している.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,理論および実験の両面から,フィードフォワード歩行制御の解明を進める.具体的に,理論面では安定解析に関わる理論を構築し,実験面では試作機のブラッシュアップを行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度未執行経費が発生した最も大きな理由は,研究代表者の異動による.異動前と比較して異動後は,所属から配分される研究費が大幅に増額した.そのため,所属からの配分を活用することで,研究代表者は本科学研究費をほとんど使用せずに研究を遂行できた.この未執行経費と次年度の配分経費を利用して,当初予定していなかったバイアウト制の活用など,研究遂行の充実策を検討する.
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