研究課題/領域番号 |
23K03925
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
蓮池 紀幸 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 助教 (40452370)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | グレーティング / 熱ナノインプリント / ITO |
研究実績の概要 |
本研究では表面プラズモン共鳴を利用した赤外線熱電変換素子の機能実証を目的としている。本素子は強誘電体上にSn:In2O3(ITO)のグレーティング構造を有し、入射する赤外線により励起された表面プラズモンの熱損失と強誘電体の焦電効果を利用して外部起電力を得る構造となっている。本素子構造を実現する上で、(i) 熱ナノインプリント法と反応性イオンエッチング法を組み合わせたグレーティング下地構造の作製、(ii) 反応性プラズマ堆積法(RPD)によるITO膜の低温成膜、(iii) 強誘電体基板上への素子構造の形成、の3点が目的である。 初年度はグレーティング下地構造を形成するためのプロセス条件の検討と、それと並行してITO膜のRPD低温成膜を実施した。前者ではプロセス条件の最適化には至らなかったが、所望の構造を得るための指針を見出すことが出来た。後者のRPDの低温成膜については、当初の想定通り高品質なITO膜が低温で成膜可能であることが確認され、グレーティング構造をインプリントしたポリマーフィルム上にも成膜が可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は3カ年計画であり、初年度は本研究の基盤技術となるグレーティング構造の作製条件の検討とITO膜の低温形成の2つ課題を並行して取り組んだ。後者は当初の計画通り順調に進み、本研究で提案する形成プロセスに適用できることが確認された。一方で、前者では熱ナノインプリントで使用する材料の選定(PMMA樹脂溶媒)や形成プロセスの条件出しに時間を要し、初年度末の時点でグレーティング構造の形成が可能であることは確認できたが、引き続き条件の最適化を進める必要があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に見出したグレーティング構造の形成プロセス条件を主軸にして、引き続き条件の最適化を進めていく。特に、次年度は初年度の研究を実施した上で課題として残った「格子凹部に残留する樹脂膜の低減」に着目し、プロセス条件の最適化を行い所望のグレーティング下地構造を実現し、得られた構造体にITO膜を形成することでITOグレーティング構造を作製する。続いて、本プロセスを強誘電体基板上にも適用し、本研究で提案する素子構造のプロトタイプを作製する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に参加予定であった学会に不参加となったため、その旅費に使用する予定だった金額が残った。この予算は次年度予定の論文投稿に充てる予定である。
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