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2023 年度 実施状況報告書

強い磁気異方性を有する鉄ーマンガンーガリウム合金の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K03943
研究機関東北学院大学

研究代表者

岡田 宏成  東北学院大学, 工学部, 准教授 (40508751)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード磁気ヒステリシス / 鉄ーマンガン合金 / 三元相図 / 磁気異方性
研究実績の概要

本年度は,Fe50Mn25Ga25を起点としたFe50-xMn25+yGa25+x-y(x=0~20, y=-5~15) 合金について,FCC 相とHeusler相の相安定性と磁気特性について明らかにすることを目的とした調査を行った.
800℃での熱処理後において, (Fe,Mn)濃度が濃い組成領域では広い範囲でFCC相が析出し30at%Ga付近に明確な相境界が存在していることが明らかとなり,相境界を越えた組成領域では他の相へ分離することがわかった.FCC相領域ではGa濃度が増加することで強磁性相関が増強し, Mn濃度が増加することで反強磁性相関が増強することが示され,その結果として,Ga 濃度の増加と共にフェリ磁性から反強磁性へと変化し,相境界付近において反強磁性-強磁性転移を示すことがわかった.FCC 相境界近傍ではFeとMnの組成比の制御だけで,Fe50Mn25Ga25と類似した砂時計型磁気ヒステリシスとハード強磁性型磁気ヒステリシスが得られることを見出した.350℃での熱処理後においては,単相のHeusler相は化学量論組成周辺のごく限られた範囲のみで得られ,正方晶XA構造やL21構造への構造変態は確認されなかった.
本研究により,800℃の熱処理で得られるFe-Mn-Ga合金の三元相図が示され,FCC相の相境界が30at%Ga付近に存在することが明らかとなった.その周辺組成において,FeとMnの組成制御によって交換バイアス効果や強い一軸磁気異方性が期待される磁気特性が同一合金系で得られることを見出した.今後は,FCC相の相境界付近の組成領域に対してより詳細な調査を行うことで,Fe-Mn-Ga 合金の機能材料としての可能性が示され,希土類元素を含まない新規機能性材料に関する基礎研究や応用研究へと繋がることが期待される.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り,FCC相とHeusler相について等原子比周辺の熱的安定性を調査し,800℃と350℃について組成-温度相図を作成することができた.また,これらの相安定性に加え,各組成での磁気特性の調査により,強い磁気異方性が期待される組成範囲を特定することができた.

今後の研究の推進方策

今後は,FCC相にフォーカスして組成範囲を広げて相安定性と磁気特性の調査を行うとともに,強い磁気異方性が期待される組成範囲周辺に限定してより詳細な磁気特性の評価を行い,新規機能性材料としての可能性を明らかにする.

次年度使用額が生じた理由

当初購入を予定していた高精度電子天秤の購入が急務ではなくなったことに加え,原料や渡航費の高騰を鑑み,次年度の消耗品,旅費へ補填することを計画している.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 三元系Fe-Mn-Ga合金におけるHeusler相の相安定性2024

    • 著者名/発表者名
      山内達寛,岡田宏成
    • 学会等名
      日本金属学会
  • [学会発表] Fe-Mn-Ga合金のFe-rich組成における結晶構造特性と磁気特性2024

    • 著者名/発表者名
      北原壮太,岡田宏成
    • 学会等名
      日本金属学会
  • [学会発表] 三元系Fe-Mn-Ga合金におけるFCC相の相安定性と磁気特性2023

    • 著者名/発表者名
      山内達寛,岡田宏成,梅津理恵
    • 学会等名
      日本金属学会
  • [学会発表] Phase Stability and Magnetic Properties of Fe-Mn-Ga Alloys with FCC Structure2023

    • 著者名/発表者名
      Tatsuhiro Yamauchi, Hironari Okada, Rie Y. Umetsu
    • 学会等名
      The 6th International Conference of Asian Union of Magnetics Societies
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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