研究課題/領域番号 |
23K03997
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
窪田 諭 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (60527430)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | デジタルツイン / 3次元点群データ / 施工管理 / センシングデータ / 3次元モデル |
研究実績の概要 |
本研究では、建設事業において3次元データを流通し利用することを目的に、施工現場の特性と状況を考慮し、3次元データを基盤として施工と維持管理に関する情報を収集、処理、伝達、利用する施工情報システムを構築することを目指している。そのために、まず、施工に係わる仕様・要領類を整理し、施工空間デジタルツインの要求精度を明らかにするとともに、活用場面を設定した。そこでは、施工現場の過去の記録、現在の把握、未来の予測を施工空間デジタルツインの役割と設定し、その活用場面として、工程管理、品質管理、安全管理を考案した。 次に、研究フィールドとして中小規模を想定した施工現場を対象として、活用場面を施工空間デジタルツインに再現するために必要なデータを地上型レーザスキャナによる3次元計測、および、UAV搭載型カメラと高所カメラによる空中写真測量によって計測した。そして、計測データについて、施工現場の進捗管理において二時期の3次元点群データを連携するために、データの重畳技術を検討した。取得した3次元点群データ、映像データならびに作業者の位置データを用いてデジタル空間上に施工状況を可視化し、施工現場を再構築することを試行した。その結果、取得データそれぞれの課題を示した。3次元点群データは、他データを重畳する基盤としての役割に加え、進捗を把握するために用いられ、進捗の差分を数値や色で表現する手法を考案した。作業者の位置データは、3次元点群データとして可視化することができ、用途によって表示方法を変えることが効果的であり、作業量や体調の変化を捉えるための閾値の設定、時間軸の管理により位置をリアルタイムに表示することができた。映像データは、現場状況を記録する手段として有用であり、その確認や表示を行う手法を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度には、施工空間デジタルツインの要件整理として、施工に係わる仕様・要領類を整理し、施工空間デジタルツインの要求精度を明らかにするとともに、活用場面として、工程管理、品質管理および安全管理を設定し、それぞれの活用シーンで必要なるデータを整理した。そして、情報を収集、処理、伝達、利用する情報システムの定義に沿って、施工空間デジタルツインの検討要素を提案した。次に、中小規模を想定した施工現場と実現場において、実現場と同様の建機の動きを再現して、活用場面に必要な3次元点群データを地上型レーザスキャナ、UAV搭載型や高所カメラによる空中写真測量によって計測した。仮現場で取得した3次元点群データと実現場で取得した映像データならびに位置データを用いてデジタル空間上に施工状況を可視化し、施工現場を再構築することを試行した。その結果、施工空間デジタルツインの構築を試行し、取得データそれぞれの課題を示した。これらの成果によって、施工現場の進捗管理のために、二時期の3次元点群データを連携するためのデータ重畳技術を検討し、フリーの3次元点群データ処理ソフトを用いて確認することができた。 以上より、本研究は当初計画どおりおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、研究フィールドとして中小規模施工現場に加えて、大規模施工現場も対象として、活用場面と想定する進捗管理、品質管理、安全管理に必要なデータを地上型レーザスキャナ、UAV搭載型カメラや高所カメラによる空中写真測量によって計測する。また、より効率的なデータ取得を目指して、携帯型レーザスキャナを試用する。これらの機器特性を分析して、異なる精度を有する3次元点群データを統合して、3次元点群データの計測と整備における留意点を整理する。そして、施工現場の進捗管理において二時期の3次元点群データの連携のために、計測時期や精度が異なるデータを重畳する技術と断片的な計測データ間を補完する技術を開発する。また、3次元点群データを基盤に、属性情報を付与して、施工進捗を時間軸で可視化する施工情報システムを設計する。その設計においては、大量の3次元点群データを取り扱うための方策を検討する。 2025年度には、3次元データ処理技術として、計測時期や精度が異なるデータを重畳する技術と断片的な計測データ間を補完する技術を開発し、実現場のデータを用いて検証する。そして、施工情報システムを開発し、計測データに属性情報を付与し管理するための情報基盤としての機能を開発するとともに、実務技術者との意見交換によって、システムの有用性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度には、学会発表、調査や情報収集に係る旅費や謝金を使用した。当初購入予定であった3次元点群データ処理PCについては、実験フィールドを中小規模の施工仮現場としたために、既存の所有品により対応できた。また、3次元可視化処理をフリーソフトウェアによって行い、その可能性を検討したために、市販の3次元可視化ソフトウェアの購入を次年度にする変更を行った。以上の理由により、次年度使用額が生じた。 次年度には、大規模施工現場を対象とするために大量の3次元点群データを処理し、その重畳技術の開発を進めるために、システム開発・運用のためのPCと、データを可視化するためのソフトウェアを購入する。3次元点群データの処理や解析には、謝金を使用し、研究補助をうける。また、研究成果を海外国際会議にて発表する予定であり、そのための旅費と参加費に使用する予定である。
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