研究実績の概要 |
地震災害が多い日本において過去の地震災害の研究は不可欠である.特に地震が過去のいつ起きたかは重要な情報であるが,現状では古文書の研究がほぼ唯一の方法となっている.しかし,古文書の記録は大規模災害が発生した特別な地震に限られ,実際に起きた記載のない地震も多いと指摘されている.こうした中で,地盤中に認められる液状化の痕跡(噴砂痕)は,その地で地震があった確実な情報となる.噴砂の年代推定ができると,古文書よりも確実である.しかし噴砂痕は,その液状化過程で上層の新しい地盤を貫通したり,混じり合ったりするので,汎用の14C年代法は使用できない.そこで,噴砂中の磁性粒子に着目し,残留磁化(磁化)を用いる地磁気年代推定の利用の可能性が示唆されている. 本研究では,地盤工学とこの磁化研究を融合させることで、地盤の残留磁化が地盤の液状化の根拠となるのではないかと考えた.繰返し三軸試験機を用いて,各種条件(拘束圧,粒度,地震動)で作った材料の磁化を調べることで,液状化地盤と磁性粒子の関係を明らかにし、液状化判定精度向上への貢献を目的に研究することを考えた. 本年度は、繰返し三軸試験機により,地盤中の応力を再現した状態で液状化を起こし,磁性粒子が地磁気方向に配列する現象を検証した. 実験は,様々な条件下(異なる砂の粒度,異なる拘束応力)で行い,地磁気を模擬した磁石を配置して磁性粒子が配列する条件を確認している。 また能登半島地震により液状化した箇所が富山県内に多数あり、本研究の有効性を検証するための調査箇所の選定を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、繰返し三軸試験機により,地盤中の応力を再現した状態で液状化を起こし,磁性粒子が地磁気方向に配列する現象を検証した. 実験は,様々な条件下(異なる砂の粒度,異なる拘束応力)で行い,地磁気を模擬した磁石を配置して磁性粒子が配列する条件を見いだそうとしている。高感度超伝導磁力計を使用して磁化測定を行うことで、磁性粒子の配列方向や磁化強度等から検証を進めている。磁性粒子が地盤が液状化したことの根拠となり得るためには、数多くの条件での検証が必要であり、現在も進めているところである。 また能登半島地震により液状化した箇所が富山県内に多数あり、本研究の有効性を検証するための調査箇所の選定を行っている。 本研究は順調に進められているが、総合的に考えて計画よりやや遅れていると判断している。
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