研究実績の概要 |
建設汚泥は, 発生あるいは中間処理においてセメント系固化材などで改質され,高アルカリ性を示すことが多い.一方,近年,製紙工場の廃棄物であるペーパースラッジ灰を主成分としたペーパースラッジ系改質材(PSAS)で建設汚泥を改質しCO2ガスを通気して中性化したのち,再資源化することが行われている.しかし,中性化に要する期間は,改質土や通気の条件によって変動する場合があり,これらの影響を把握する必要がある.また,中性化は改質土中のCa成分などの炭酸塩化により生じる結果であり,CO2の固定化も生じている. そこで2023年度(本研究の1年目)では,カラム試験を実施し,供試体・通気条件が改質土の中性化・CO2固定化に及ぼす影響を検討した.w=1.0wLの青粘土(wL=40.7%, wP=23.7%)に, 銑鉄の副産物(高炉スラグ)を利用した高炉セメントとPSASそれぞれ乾燥質量比で3%, 20%添加し改質土を作製した.PSASを添加して改質するのは,中性化の進行を促進できることが分かっているためである.なお,改質後の土の含水比は約30%である.この改質土を用いて,直径D=100mm, 高さh=127~750mmのカラム供試体(乾燥密度ρd=0.75~1.11g/cm3)を作製し,濃度2.55~10%のCO2ガスを流量Q=0.5, 1.0, 1.5L/minで通気させ,中性化を実施した.その結果,乾燥密度,CO2濃度,流量,供試体高さは,中性化完了期間に影響を及ぼす一方で,改質土乾燥質量1gの最大固定CO2量mCO2に及ぼす影響は顕著に認められなかった. また,中性化・CO2固定化が改質土の強度に及ぼす影響を検証するために,コーン指数試験を実施した.その結果,中性化・CO2固定化によりコーン指数の低下傾向が認められた.
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