研究課題/領域番号 |
23K04049
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
後藤 岳久 中央大学, 研究開発機構, 機構准教授 (70634682)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 掃流砂 / 浮遊砂 / 非平衡流砂モデル / 河床波 / 網状砂州 |
研究実績の概要 |
砂河川の網状砂州河道では,中規模河床波(砂州)から小規模河床波(砂堆)までの河床波が折り重なり,多重スケールの河床波構造を有する河床地形が形成されている.洪水は非定常現象であるため,各流量段階で流れの3次元性と掃流砂・浮遊砂の運動形態が変化し,それに応じて卓越して発達する波長の河床波が形成され,これらの履歴を受けて多重な河床波構造が形成されるものと考えられる. そこで本研究では,まず,これまで申請者らが構築してきた掃流砂・浮遊砂の一体解析法を網状砂州河川である斐伊川に適用できるように改良した.具体的には,これまで申請者らが構築してきた掃流砂・浮遊砂の一体解析法では,沈降する浮遊砂は一旦河床に堆積するものとして計算していた.しかし,これを実河川に適用したところ,河床変動量(堆積量)が実際よりも大きく計算されたため,沈降する浮遊砂は一旦掃流砂に取り込まれるようにした.これにより,河床波周辺の細粒土砂の非平衡運動を解析出来るようにし,掃流砂と浮遊砂の相互作用を考慮出来るようにした. これにより令和3年7月斐伊川洪水において,洪水減水期に網状砂州の上に小規模河床波が形成されることを示した.しかし,波長および波高については,洪水後の実測値よりも小さいため,今後解析法の検証・改良が必要である. 今後については,まず,斐伊川における経年的なALB測量結果を整理し,斐伊川の網状砂州の河床波構造の実態を調べる.解析モデルについては,既往の砂堆の実験結果等に適用し比較検証することで,斐伊川の砂堆の波長・波高を再現可能な解析モデルに改良する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
砂河川斐伊川に適用可能な掃流砂・浮遊砂を一体的に評価する洪水流・河床変動解析法を構築しているが,解析結果は,実際の河床波の波長・波高よりも小さく計算されており,実態を十分再現出来ていない.
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度では,構築した解析法を近年で規模の大きい令和3年7月洪水に適用した結果,洪水減水期に網状砂州の上に小規模河床波が形成されることを示した.しかし,波長および波高については,洪水後の実測値よりも小さいことが課題であった. そのため,今後については,まず,斐伊川における経年的なALB測量結果を整理し,斐伊川の網状砂州の河床波構造の実態を調べる.解析モデルについては,既往の砂堆の実験結果等に適用し比較検証することで,斐伊川の砂堆の波長・波高を再現可能な解析モデルに改良する.
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次年度使用額が生じた理由 |
計画では,初年度に高性能ワークステーションを購入する予定であったが,九州大学のスーパーコンピュータを使用できるようになったため,差額が生じた.
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