研究課題/領域番号 |
23K04082
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
伊藤 香織 東京理科大学, 創域理工学部建築学科, 教授 (20345078)
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研究分担者 |
瀬戸 寿一 駒澤大学, 文学部, 准教授 (80454502)
高柳 誠也 東京理科大学, 創域理工学部建築学科, 助教 (60843547)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | スマートシティ / シビックテック / シビックプライド / コミュニティ / 地域社会貢献 |
研究実績の概要 |
2023年度は,国土交通省スマートシティモデル事業の各取り組みの分野や手法の整理,国内のシビックテック活動(Code for X)の概観,そこから事例として選んだCode for Sagaについての調査分析を行った. Code for Sagaの調査では,記録から活動内容や参加状況をデータ化するとともに,Code for Saga及び関係する他のCode for Xの活動参加者にインタビュー調査を行った.併せて,佐賀市のスマートシティの取り組みについてもインタビュー調査を行った.活動の分析からは,初期にはオープンデータやデータ表現への純粋な関心から参加した者が多く,その後それが地域課題解決の取り組みへと発展し,近年は自治体のDX事業の受け皿にもなっているという大きな流れが見られた.このことから,地域社会貢献を第一に掲げて活動に参加したというよりは,活動を通して地域社会貢献を意識するようになったという傾向が強いと言える.また,参加者の分析からは,参加者の関心によって活動内容が移ろい活動内容によって参加者が変わることや,他のCode for Xとのつながりがあることがわかった. これらの調査分析から,市民が自主的に活動することがシビックプライドにつながる可能性や,テクノロジーはその入口にもなるとともにシビックプライドを発揮するためのツールにもなることが示唆された.また,従来の組織ではなく個が集まり有機的にかたちを変えていくプロジェクトという側面が強いことで,個々人のモチベーションと地域社会への貢献が結びつきやすくなる反面,持続性の課題も挙げられた.また,Code for Sagaは,シビックテックが行政のスマートシティの取り組みの担い手にもなるという,スマートシティとシビックテックをつなぐ事例のひとつのパタンとして位置付けられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は,月1回程度の頻度で研究打ち合わせを行い,各自が担当の研究を進めるとともに,合同で国内のシビックテック先進地域のひとつであるCode for Sagaの取り組みを事例として調査したため.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,引き続きシビックテック及びスマートシティの事例調査を行いながら,都市を“スマートに”する技術がもたらす市民社会への影響を概念化して,アンケート調査につなげる.並行して,研究の成果を社会に発信していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査の補助学生の人数が当初予定ほど確保できなかったため若干旅費の繰り越しが発生したが.事例調査を引き続き行うため2024年度に使用予定である.また,分析ツールの購入は急を要さなかったため,2024年度以降に最新版を購入する予定である.
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