• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

嫌気性MBRを用いた下水汚泥メタン発酵とハイブリッド型バイオメタネーション

研究課題

研究課題/領域番号 23K04084
研究機関北海道大学

研究代表者

羽深 昭  北海道大学, 工学研究院, 助教 (30735353)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードバイオガスアップグレーディング / 嫌気性消化 / Power to Gas / 水素 / 嫌気性膜分離 / 水素資化性メタン生成菌
研究実績の概要

下水汚泥のメタン発酵で得られるバイオガスの組成は約60%がCH4であり,残りの約40%がCO2である.バイオガスアップグレーディングはバイオガス中のCH4濃度を90%以上まで上昇させ,バイオメタンとする技術である.バイオガスをバイオメタンとすることで利用用途が拡大する.生物学的バイオガスアップグレーディングは物理化学的手法と比較して,穏やかな条件下でバイオガス中のCO2をCH4へと変換できることから,近年注目を集めている.これはバイオリアクター内に外部からH2を供給し,水素資化性メタン生成菌の働きを利用してバイオガス中CH4濃度を高めるものである.生物学的バイオガスアップグレーディングの中でもEx-situ方式はバイオガスが生成するメタン発酵槽とバイオガスアップグレーディングがなされるリアクターが別々であるため,既存のメタン発酵槽の運転条件等を大きく変更せずにすむ.本研究では嫌気性微生物を高濃度に保持することのできる嫌気性膜分離リアクター(AnMBR)を研究に用いた.
2023年度は高温AnMBRを用いてEx-situバイオガスアップグレーディングを行った.CH4濃度90%以上を達成することを目的とし,その際の最大ガス負荷速度と供給するH2/CO2比を検討した.まず,余剰活性汚泥を基質とし,完全混合型リアクターで高温メタン発酵を行った.これにより得られたバイオガスとH2をAnMBRに供給した.ガス負荷速度と供給するH2/CO2比を変更してAnMBRの連続運転を行った結果,平均CH4濃度97.9%のバイオメタンを得ることに成功した.このときのH2/CO2比は 5.3/1 であり,Ex-situ CH4生成速度は0.21 L/L/dであった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

CH4濃度に関してはバイオガスアップグレーディングの目標である90%以上を達成した.また,Ex-situ方式に関しては当初研究目標であった最大ガス負荷速度とCH4生成速度を明らかにした.また,菌叢解析も実施済みであり,膜分離とH2添加の影響によりAnMBR内では水素資化性メタン生成菌(特にMethanobacterium)が徐々に支配的となることが明らかとなった.膜分離技術の課題は膜の目詰まりによる膜ろ過性能の低下だが,膜ろ過性能を回復させるための膜洗浄方法に関しても既に検討を進めている.2023年度は分離膜を交換することなくAnMBRを200日以上連続運転でき,運転終了後の分離膜を物理的および化学的に洗浄することで,新膜と同水準の膜ろ過性能まで回復できることが分かった.

今後の研究の推進方策

今後はH2溶解を促進するようにAnMBRを改良する.リアクターの形状,H2の供給方法等を検討し,H2溶解を促進させる.これによりガス負荷速度とCH4生成速度を向上させ,AnMBR装置の性能向上に取り組む.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 下水汚泥のメタン発酵と嫌気性MBRによる生物学的バイオガスアップグレーディング2024

    • 著者名/発表者名
      羽深昭,鹿沼俊介,木村克輝,大下和徹,佐藤夏紀,伊藤竜生
    • 学会等名
      第58回日本水環境学会年会
  • [学会発表] In-situ biogas upgrading with H2 addition in a thermophilic anaerobic membrane bioreactor (AnMBR) digesting waste activated sludge2023

    • 著者名/発表者名
      A. Hafuka, S. Fujino, K. Oshita, N. Sato, R. Ito, K. Kimura
    • 学会等名
      13th International Congress on Membranes and Membrane Processes (ICOM2023)
    • 国際学会
  • [学会発表] 嫌気性MBRを用いたバイオガスアップグレーディングとH2添加頻度の検討2023

    • 著者名/発表者名
      鹿沼俊介,羽深昭,大下和徹,佐藤夏紀,伊藤竜生,水野志穂,木村克輝
    • 学会等名
      第60回環境工学研究フォーラム
  • [学会発表] Anaerobic digestion of waste activated sludge and in-situ biogas upgrading in a thermophilic anaerobic membrane bioreactor (AnMBR)2023

    • 著者名/発表者名
      Akira Hafuka, Katsuki Kimura, Kazuyuki Oshita, Natsuki Sato, Ryusei Ito
    • 学会等名
      第60回下水道研究発表会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi