研究課題/領域番号 |
23K04116
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
倉富 洋 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (50709623)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | せん断パネル / 制振装置 / クロス・ラミネイティド・ティンバー / ラグスクリューボルト / せん断実験 |
研究実績の概要 |
鉄骨造向けの木質制振壁開発のため,クロス・ラミネイティド・ティンバー(以下,CLTと略記)を架台に用いた間柱型せん断パネルの履歴性状を調べる正負交番繰返しせん断実験を実施した。架台となるCLTとせん断パネルは,頭部をメネジ加工したラグスクリューボルト(以下,LSBと略記)と六角ボルトで緊結される。既往の研究では,せん断パネルの鋼種にステンレス鋼を用いたが,本実験では汎用性のある鋼種での検討を目的として,普通鋼であるSS400材,SN400B材を対象とした。 実験変数には,せん断パネルの幅厚比,CLTの幅,厚さをとり,これらの違いが制振壁の履歴性状に及ぼす影響について考察した。また,本LSB接合では,予めCLTに埋め込まれたLSBとせん断パネルのエンドプレートを六角ボルトによって緊結する。そのため,せん断パネルが損傷を受けても取り換えが容易となる点に特徴がある。当該年度では,地震等の外力によってせん断パネルが損傷した状況を想定し,せん断パネルを交換した場合の挙動について実験的に検討することを目的とした。試験体の上下架台と鉄骨土台はLSBと六角ボルトで接合した。載荷プログラムは間柱全体の水平変位量で制御し,所定の変形角ずつ漸増させた。載荷は正負交番繰返し水平力を与え,各サイクルにおいて2回ずつ繰り返した。 実験結果より,LSB群の降伏せん断耐力がせん断パネルの終局せん断耐力を上回るように設計した試験体では,大変形時までエネルギー吸収に優れる紡錘形の履歴性状を示した。CLTとLSBの再利用性を目的として載荷終了後にパネルと六角ボルトを取り換えた試験体では,履歴性状および累積せん断変形ともに大きな違いは見られず,せん断パネルを取り換えても良好な履歴性状を発揮できることを明らかとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画していたCLT幅,厚さ,鋼種および幅厚比の影響を調べる実験を実施し,予定していた実験データを得ることができた。上記実験変数の違いは,実験データによる履歴性状に現れており,違いを確認することができた。また,架台であるCLTとLSBをそのままに,せん断パネルを取り換えての実験では,両者間での履歴性状および累積せん断変形ともに大きな違いは見られず,概ね良好な結果が得られた。 一部,想定と異なる実験結果となり,データを分析したうえで追加で実験を実施する予定であった。しかしながら,2023年10月に所属研究機関を異動したため,実験装置の兼ね合いから困難となった。一部計画を変更して,要素試験や解析的検討を含め,詳細に検討を進める必要があるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では,2023年度実施したデータを踏まえ,2024年度ではパラメータを増やして追加で実験を実施する予定であった。しかしながら,2023年10月に所属研究機関を異動したため,実験装置の兼ね合いから当初計画していた実験の実施が困難となることが予想される。そのため,これまで得られた実験データを分析し,必要に応じて要素試験の実施や解析的な検討などにシフトする必要がある。当初目的としていた本木質制振壁の設計法の構築につなげられるよう,創意工夫が必要して研究を遂行する必要があるものと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は,年度の途中で所属研究機関を異動したため,予定していた計画に不都合が生じることとなった。当初予定していた研究計画通りに実験を実施することは困難になることが予想されるため,2023年度に生じた差額は,2024年度に実施する要素試験や解析的検討のための費用に充てる計画である。
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