研究課題/領域番号 |
23K04136
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮田 翔平 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (20885595)
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研究分担者 |
赤司 泰義 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (60243896)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 空調システム / セマンティックモデル / メタデータ / ポータビリティ / スケーラビリティ / アプリケーション / 不具合検知診断 / セマンティックサフィシェンシー |
研究実績の概要 |
2023年度は、本研究の準備段階として空調システム分野における代表的なメタデータスキーマであるBrick schemaの理解を深めた。Brick Schemaの開発者である米国の研究者ともコンタクトを取りながら、本技術の理念を学び、対象とする範疇について理解を深めた。また、同様にメタデータを活用しようとしている海外研究者とも議論を重ね、技術の面白さを共有するとともに研究の可能性について最新の状況を把握した。 また、実際にメタデータによるシステム記述(semantic model, セマンティックモデル)をいくつか試み、それを使ったシンプルなアプリケーションも実際に作成した。セマンティックモデルの有用性や可能性を示す端緒となった。2種類の熱源システムを対象にBrick schemaを用いたセマンティックモデル(Brickモデル)を作成し、機器性能の算出や制御異常値の算出を自動化するプログラムを作成した。このプログラムはシステムに依らず適用が可能であり、多くのシステムで基礎的な分析が自動化できることを示した。 また、主要なアプリケーションとして想定する不具合検知・診断が小さな単位で分散的にどの程度可能であるかも検討を進めた。これまでシステムレベルで実施していた不具合検知・診断をコンポーネントレベルで実施した場合のメリットとデメリットを整理した。 来年度以降はこれらセマンティックモデルの知見と不具合検知・診断の知見を組み合わせることで、研究課題である分散型の運用改善アプリケーションの開発に発展させていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
具体的な空調システムを対象としたセマンティックモデルの構築、複数のアプリケーションの作成とセマンティックモデルへの適用試行、これらを通した課題抽出をこれまで行ってきており、おおむね順調に進展していると判断できる。 同時に、研究の進展に際して新たな課題や論点も浮き彫りとなってきている。これらに向き合うことでより研究を深化させていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画ではメタデータを用いた不具合検知診断アプリケーションを主に開発することを想定していた。本研究を本格的に開始する中で、メタデータ分野の奥深さを知り、メタデータによるシステム記述(セマンティックモデル)が情報技術に礎を持つ幅広い応用領域を有することを理解した。 Brick schemaを主なメタデータスキーマとして検討していたが、今後はいくつか有用なスキーマを組み合わせることでアプリケーション志向のセマンティックモデル構築についても検討を進める予定である。 研究を進める中で、以下の2つの課題も浮き彫りとなった。 一つはセマンティックモデルをどこまで作り込めばよいか一般的な指標がないことである。海外研究者との議論の中でsemantic sufficiencyという概念を知り、空調システム分野におけるsemantic sufficiencyとはどのようなものか検討を開始したところである。 もう一つはアプリケーションの品質である。当然、分散型かつ小規模なアプリケーションであれば適用可能性が高くなる(作り込んでいないセマンティックモデルでもsufficiencyがある)が、高度なアルゴリズムの適用は難しくなる。このトレードオフの関係をどのように乗り越えるかが課題である。不具合検知診断をテーマにその可能性について検討を始めている。 これらの課題については、不具合検知診断を具体例として検討を深める予定である。不具合検知診断は多くの研究がなされアルゴリズムの開発は日進月歩のトピックであるが、技術の社会実装や普及展開に大きな課題を抱える。簡易なアプリケーションを多くのシステムに適用できることはこれまでのアプリケーション試行の結果からも推察が可能であるが、より高度なアルゴリズムに関してはその限りではない。この論点を重視しながら研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は海外研究者とのディスカッションをオンラインまたは研究者が来日した際に実施した。2024年度は国内出張(学会発表等)を予定している。また、先方と調整でき次第海外にも出張して議論を深める予定である。また、基礎的な情報収集も小規模にとどまったため学生アルバイトで対応する必要がなく、人件費が生じなかった。2024年度は検討対象を広げるため、人件費の支出を予定している。
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