研究課題/領域番号 |
23K04154
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
森永 良丙 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (90312933)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | コーポラティブ住宅 / ジェロントロジー / コミュニティ / 住宅計画 / 高齢者居住 |
研究実績の概要 |
本研究は、居住者が住まいの計画に参加して先進的な空間を建設し、入居後も積極的に コミュニティ運営に関わってきた築後40年をむかえるコーポラティブ住宅・ユーコートを対象として、ハード・ソフト両面にわたるジェロントロジカル・コミュニティ(ジェロントロジーを標榜するコミュニティ)の実現に向けた方法論を提起することを目的としている。 2023年度は、高齢者居住研究のレピュー・整理、研究対象であるユーコートの最新情報の収集のため予備調査を実施した。あわせて、高齢化が著しい高経年住宅地の高齢居住者への生活サポートの先進事例についても研究を進めた。 具体的には以下の通りである。 ・ユーコートの現況について整理し今後の調査計画を立案するために、居住者キーパーソンにヒアリング調査、及び、資料収集等の予備調査を実施した。入居後40年に至る居住過程を整理するにあたり、全48世帯の現在の概要、高齢居住者の概況、入居者の入れ替わり、高齢化に伴う課題、高齢化に向けた管理組合の活動実態、関連するコミュニティ活動等について情報を収集した。 ・高齢者居住の課題のひとつである居住地における移動に関して、先進事例である千葉市の住宅地の取り組みについて調査した。高齢者の日常生活の一つである日用品買い物の支援の実態と運営組織を評価し、今後の課題について検討した。高齢者居住のサポートは住宅地コミュニティの生成にも一定の寄与があることを明らかにした。本件は、日本建築学会大会学術講演会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の研究計画である高齢者居住の既往研究の整理、先進事例の調査、分析対象である現在のユーコートに関する予備調査を概ね予定通り実施できた。予備調査の結果を整理したうえで、現在2024年度の調査計画を検討中である。 同時に、高齢者居住のサポートに関する高経年住宅地の先進事例の評価も実施しており、引き続き取り組んでいく。 研究計画のひとつであるユーコート現地での居住者対象のワークショップによる居住者意識の把握は、高齢者向けであるため新型コロナウイルス感染症の影響を鑑み、実施には至らなかった。再度実施を検討する。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の予備調査の結果を踏まえ、2024年度は高齢者居住の全体的な実態を把握するためヒアリング調査、アンケート調査、及び、住み方調査に関する研究計画を具体的に検討し実施する。 さらに分析対象のユーコートのみならず、コミュニティ活動が充実しており、かつ、高齢化の進んでいる他のコーポラティブ住宅プロジェクトや高経年住宅地の評価研究も可能であるか検討中である。 2024年度の調査結果を2025年度に論文にまとめ公表する。追加調査が必要な場合は、2025年度に早急に実施する。 研究代表者のみの活動とあわせて、同様の問題意識を持つ研究協力者との協働を進め、ジェロントロジカル・コミュニティの内実を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画で予定していた調査の一部が実現できず、調査協力者の旅費・謝金等を執行できなかったため次年度使用額が生じた。 具体的には、調査対象のユーコート居住者参加の現地ワークショップ(アクションリサーチ)について、高齢者の新型コロナ感染症の影響を考慮して、実施を見送ったためである。 次年度は、現地調査の協力者に対する旅費・謝金等の充当に使用するように計画する。
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